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【総選挙2014】日本記者クラブ主催「党首討論会」書き起こし その2(党首から党首へ質問)

  • ポリタス編集部
  • 2014年12月3日

ポリタスでは2014年12月1日月曜日、日本記者クラブ主催により開催された「党首討論会」の模様を文字起こししました。

その1の書き起こしはこちらから。

YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=h3in9AKCxxU ニコニコ生放送:http://live.nicovideo.jp/watch/lv201490176 Ustream:http://www.ustream.tv/recorded/56011172


photo:【衆議院選挙2014】党首討論会(日本記者クラブ)より

◆党首同士の討論

島田:それでは、ここからはですね、党首の皆さん同士の討論に移っていきたいと思います。私が指名をしますので、まず最初にどなたに質問をするのか、それを言っていただいた上で、自らの主張を交えて、質問をしてください。その質問時間は1分以内です。テーマは自由に選んでいただいて結構なんですけれども、その質問の中身は多くても2つのポイントというところに絞ってください。テンポよく進めたいと思います。従いましてて、質問1分以内に対してお答えのほうも1分以内でお願いします。テレビ・ラジオで今日中継していますけれども、ラジオでお聞きの方にも、誰の発言かわかりますように質問する側も答える側も、私が指名をしてから、発言を始めてください。この一部の終了時間、そうですね、午後2時前くらいを予定しております。時間になるまで討論を行います。協力をよろしくお願いいたします。質問の順番は、先ほど冒頭の発言、安倍総裁からでしたので、今度は隣にひとつずれまして、民主党の海江田さんからお願いします。

海江田:はい。

島田:まず、どなたにご質問ですか。

海江田:自民党の安倍総裁に質問です。

島田:はい、お願いします。

海江田:2点あります。ひとつは三党合意、私どもと自民党・公明党との間で合意しました消費税の先送り、消費税の問題ですが、これ先送りということになりました。そうしますと、私たち三党合意で決めました、この消費税を引き上げることによる、例えばその低年金者に対する、これ月5000円でありますけど、付加金をさし上げるということになっていましたけれども、これだいたいどうなるのか。自民党のですね、月額5000円のね、低年金者への付加金。これが、稲田政調会長は、それはもうできない、と発言をしております。これ非常に重要な発言でありますので、総理はどう思っているか総裁はどう思っているかということが1点目、それから2点目です。実質的な賃金15カ月連続でマイナスです。これ、麻生政権の時も実は、実質賃金は19カ月マイナスであったわけであります。その意味では、このアベノミクスが、継続をすれば私たちは実質賃金はマイナスになり続けるというふうに思っておりますが、いったいいつになれば、この実質賃金が上がるのか。その時期を明示をしていただきたいと思います。

島田:はい。では自民党安倍さんお願いします。

安倍:まず低年金の方々に対する月5000円のプラスでありますが、給付と負担のバランスのなかにおいて、今回、税と社会保障の一体改革を行いました。しかしわれわれは現在の状況を見て、消費税を上げていっても、税収が増えていく状況にはないし、景気が腰折れをする。その判断で消費税の引き上げを、平成29年の4月まで、18カ月間増やしたわけであります、当然その中でできる社会保障の充実とそうでないものがあります。われわれは子育て支援については、しっかりとやってまいります。しかしこの5000円の、いわば低年金者の方々への支援はこれは平成29年の4月まで伸ばさせていただきたい。これは給付と負担のバランスを持っていくためのものであります。そしてもうひとつ、実質賃金でございますが、ちょっとこれ説明になりますから、もう1分いただきたいんですが。

島田:いや、あと30秒ほどでお願いします。

安倍:実質賃金と言うのはですね、これは賃金というのは、景気が良くなった時には、だんだんパートや非正規から仕事が始まります。例えば私が、月20万円給料をもらっていて、景気が良くなってうちの妻が、10万円のパートをする、そうすると安倍家では、収入30万円になりますが、平均値は実は15万円になってしまうわけであります。しかしその中において、これはですから単純に実質賃金という見方ではなくて、国民みんなの、すべての勤労者の所得、総雇用者所得という、そういう概念があります。そこで見れば、消費税の引き上げ分を抜けば、今年の6月から、その実質賃金は上昇し始めている、確実に実益を上げつつあるということは、申し上げておきたいと思います。

島田:安倍さん、ちょっと今質問に対してですね、ちょっと付加しますけれども、いつごろですね、賃金が物価の上昇を上回る数字に達するか。その見通しを海江田さんは聞いていたんですけれど。

安倍:えーと、今ちょっと短かったからね……(笑)。

島田:じゃあもう30秒で、見通しを言ってください。

安倍:これはね、なかなか、やっぱり1分くらいいただかないとこれは難しいんですが。そこでですね、私は政権を取った当初から、2%の物価安定目標を掲げました。これに対しては今年の賃上げのチャンスというのが1年に1回しかありません、この1年に1回のチャンスで、これ、連合の取ったデータで2%以上賃金を上げることができた。つまり私たちの物価安定目標以上はいきました。しかし消費税を3%のせた分には届かない。これはもう最初から届かないということは申し上げておきました。社会保障費、みんなでこれは負担しましょうということでありました。そこで、われわれは来年、再来年、平成29年の4月まで消費税の引き上げの延期をしました。来年、アベノミクスが続けば、経団連の会長はですね、ちゃんと賃金を引き上げていくという約束をしていただいておりますから、来年上がっていきます。そしてまた再来年も上がっていきます。そしてさらにその翌年もですね、賃上げを行えば、しっかりと、実質賃金がこの消費税分を入れても追い越していくという状況は間違いなく、私はつくっていくことができると、そう思っています。

島田:はい。各党に聞いていきましょう。お隣の、維新の党、江田さん。どなたに質問しますか。

江田:安倍総裁に。

島田:はい。じゃあ続けてどうぞ。

江田:今、国会は巨大与党の前に緊張感のない慢心の政治なんですよね。その象徴がですね、この4月に8%増税、国民にお願いしました。その翌月にですね、国会議員の給料、2割カットを満額支給に戻しましたね。これは、大震災の復旧復興財源、さらには国会議員の定数削減までの間はこれをやるって言ってたんですね。これは当時、石破幹事長がね、国会議員は生活困窮者だから、と言って満額に戻しました。自民党だけじゃありませんよ、民主党もそうですよ、ね。それから同時にですね、国家公務員の7.8%カットも元に戻したんです。こんな世間の非常識がありますか。われわれは3割カット、深堀、より一層負担を求めるんですから国民に、深堀のですね、国会議員の歳費3割カット法案を出しましたけれどね、全然国会、見向きもしてくれない、特に自民党はそうですね。どうしてこんな世間の非常識が通るのか、わたしには理解できないんですけれども、安倍総理にお伺いしたいと思います。

島田:はい、安倍さん。

安倍:はい。身を切る改革であります。たしかにですね、消費税を引き上げていく中において、身を切る改革はとってもわたしも大切であると思っています。そこで、まず公務員でありますが、公務員の皆さんの賃金というのはですね、物価の上昇も合わせて、人事院が決めていくわけでありますが、なぜ人事院が決めているかといえば、公務員はストができない、団体交渉権がない代わりに、これは人事院が決めていくというルールがあるわけでありますが、その中で、東日本大震災が起こりましたから、特別にそれはカットしたということでありますが、しかしそろそろ元のルールに戻していこうということになりました。そして、国会議員の歳費、これはまさに、各会派が集って決めていく、まぁ自分で決めていくことになるわけでありますが、私も自民党の党首であります。しかしその中において、議員がしっかりと自分たちの身分にふさわしい仕事をしていくわけでありますが、その中でのコスト等も考える中において、戻したところであります。ただ、今後ですね、どうしていくかどうか、ということについてはしっかりとまた、議論をしていきたいと。こう思っています。

島田:そして次は公明党の山口代表。どなたに質問しますか。

山口:民主党海江田さんに質問いたします。

島田:はい。お願いします。

山口:はい。民主党含めて3党で社会保障と税の一体改革を合意いたしました。この度われわれ与党は、この3党合意の枠組みの中で、消費税10%の時期を1年半、延期をいたしました。しかし再び延期をすることなくこれを実施して、その際に低所得者対策として軽減税率を実現するという方向を決めました。さて民主党として延期とか凍結とか、言っておりますけれども、実際にこの先どうするのか。延期をいつやめるのか。そしてその間、社会保障やあるいは財政再建の見通しをどう作るのか。そしてその際に、低所得者対策として何を実行するのか。現実、給付付き税額控除と、ご提案もありますが、はたして現実的に実行できるものなのでしょうか。これらについてお答えいただきたいと思います。

島田:はい。では民主党海江田さん。

海江田:具体的な項目はずいぶんたくさんありましたけれども、私たちはまず今回のこの消費税の税率引き上げを延期するというところで、本当は自民党あるいは公明党さんから一言相談があってもよかったんじゃないかな、と思っておりまして。全くなかったですね、これは。そのことはまず申し上げたいと思います。それからもうひとつですね、やっぱりここまで景気を悪くした、とりわけ二期連続をしてマイナス成長にしたということ、このことはですね、安倍総理は、以前は確かに駆け込み需要がありますから、そのあとの一期はマイナスだけどV字回復をするとおっしゃっていたんですよ。ところがV字回復どころか引き続き二期連続ということですから、今の状況ではとてもじゃありませんけれども、これは消費税を来年の10月に増税をする環境にないということは、私たちの基本的な考え方であります。そういう時期でありますけれども、やっぱり私たちはですね、先ほどもお話をしましたけれども、人への投資を厚くする、ということはやらなければいけませんから、先ほどお話のあった5000円のですね、低年金者に対する付加給付などもこれは財源をしっかり見つけて、この財源っていうのは無駄な公共事業をカットするとか、あまってるんですから、もう公共事業はやりきれずに。けれどもちろん行革もやるということで、そういう人への投資、人へ優しい政策を打つということは、これ民主党の一丁目一番地です。

島田:はい。次世代の党平沼さんは、どなたに質問しますか。

平沼:自由民主党の安倍総裁に、質問させていただきたいと思います。

島田:お願いします。

平沼:私は先の臨時国会の安倍総理の所信表明に対して代表質問をしました。所信表明演説をよく見てみると、私は25年間自民党に在籍しておりましたけれども、安倍総理のですね、非常に憲法に対する思いというのはよく知っているわけですけれども、所信表明演説には、憲法という言葉がなかった。だからそのことを、私は質問しましたけれども、明確な返答がなかったんです。ですからそういう意味で、この自主憲法に対して今後どういう進め方をしていくか。そしてどのような時期までにやっていくのか。こういう問題についてですね、ぜひ、自民党総裁のご意見をとくと承りたいと、このように思っております。よろしくお願いします。

島田:自民党安倍さんお願いします。

安倍:憲法改正は自由民主党が立党した時の、基本的な目標でありました。第一次安倍政権の時に、そのための国民投票法を作りました。そして第二次安倍政権で、宿題となっていた投票年齢を18歳への引き上げを、改正してそれを定めたところでありました。いよいよ憲法改正に向けて、渡っていく橋を作ることができたわけでございますが、大切なことは、3分の2の勢力で国会で構成したところで、それは発議できるにすぎないわけでありまして。本番はまさに、国民の投票によって決めるわけであります。残念ながらまだ国民の皆さんの中で憲法改正していこうという気分が盛り上がっている状況ではないと思いますのでまずは党で国民運動を展開していきたいと思います。

島田:はい。共産党の志位さんは、どなたに質問しますか?

志位:安倍さんに質問します。

島田:はい。どうぞ。

志位:今度の選挙で政治と金をめぐる重大な疑惑が指摘されている一連の政治家を、自民党が公認したことは驚きです。こうした金に対する感覚麻痺の根源のひとつに政党助成金があります。総額320億円、何の苦労もなく毎年巨額の助成金が転がり込む。民主主義のコストという名目で導入されたこの制度が金に対する感覚をまひさせ、政治腐敗を加速しています。自民党本部の収入の65%は政党助成金、まるで国営政党です。助成金目当ての政党の離合集散も目にあまります。政党の劣化が深刻です。わが党は政治の不当な特権を正すというのなら、憲法違反の政党助成金の廃止こそ必要だと主張しておりますが、安倍さんはこの制度に指一本触れないおつもりですか。端的にお答えください。

島田:自民党安倍さん。

安倍:政治資金をどのように集めていくか。これはいわば民主主義のコストをどのように負担をしていく、分担をしていくかということだろうと思います。わが党としては、この国民の皆さまからいただいている政党助成金と、個人・団体・企業からいただいている献金等々をふくめて自民党の国会議員は活動をしているわけであります。政党助成金については純然たるこれは税金でありますから、党として厳しい、大変厳しい内規を決めて、それにのっとってですね、支出を行っております。たまにこの様々なご指摘をいただくのでありますが、いただくところについては、多くは個人献金等々の中の処理の問題で起こるわけでありますが、いずれにせよ、これはまさに民主主義のコストの問題であろうと。この政党助成金という制度を導入するときに政治改革の中において、各党各会派でこれはまとまって最終的には法律が通ったのでありまして、当面はこの助成金制度を活用させていただきたいと、このように思います。

島田:はい。生活の党小沢さんはどなたに質問しますか?

小沢:安倍総理にお伺いいたします。

島田:どうぞ。

小沢:先ほど触れた、雇用の件でありますけれども、すでに現在非正規雇用が40%に達しております。そういうなかで、政府の産業競争力会議や、規制改革会議でもって、さらにこれを増やそうという方向を打ち出しているやに聞いております。この非正規の雇用のままではですね、将来の不安定、待遇も悪いと。そういうなかで若い人たちが結婚もできない、あるいは結婚しても子どもを産んで育てるということができないという声が非常に多くなってきております。従って私はこの非正規雇用については、一定の限度を将来設けるべきではないかと考えておりますが、総理はどのようにお考えでしょうか。

島田:はい、安倍さんお願いします。

安倍:われわれが政権をとって雇用を100万人増やしています。景気回復局面ではどうしても経営者が慎重になりますからパートや非正規という形で雇用をします。働き始める人たちも、それから始める人たちも結構多いのも事実であります。しかし民主党政権時代のこと言って海江田代表に大変恐縮なんですが、民主党政権時代はですね、雇用そのものが、これは減っていました。その中において100万人近く非正規増えていたのも事実であります。われわれは、雇用全体のパイが増えている中において、やっとその中で7月、8月、9月。10万人新規採用が、正規の雇用者が増えました。そして正規の皆さんの有効求人倍率は統計をとって過去最高です。そして新規求人倍率、これから新たに正規で頑張っていこうという人たちに対して、正規の雇用を用意する会社、1人の求職者に対して、1人の求人。これは新規です。これは1を越えた。統計をとってきて、最高であるということも、申し上げておきたいと思いますし、またパートやアルバイトの方々の時給も1050円になった。これも統計を取り始めて、最高の額であるということも、お示しをしたい。もちろん……

島田:安倍さん時間です。

安倍:非正規労働者を増やそうという考え方は毛頭ないということは申し上げておきたいと思います。

島田:はい。社民党吉田さんはどなたに質問ですか。

吉田:はい。安倍自民党総裁に、脱原発について質問いたします。

島田:はい。どうぞ。

吉田:社民党は3年8カ月前の東京電力福島第一発電所の事故が起こる前から、脱原発を訴えてきた唯一の政党でありますが、あれだけの事故が起こってしまった。やはり具体的な政策提案をできなかった、そのことがあの事故につながったということを痛切に反省をしながら、あらためて脱原発に向けた運動を強化をしなければならない、そのように肝に銘じております。そこで安倍総裁に質問ですが、自民党は2012年衆議院選挙で原発に、原子力に依存しない経済、社会構造の確立を目指すと約束、再生可能エネルギーの最大限の導入としました。すぐにはできないが将来的には段階的に脱原発の方向を目指すと説明されてきました。ところが、今回の衆議院公約では、衆議院選公約では、原発はエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源とするなど、原発最優先、原発回帰を鮮明にしています。自民党は将来的な脱原発の方向性を捨てて原発推進に180度転換したと理解してよろしいのですか。

島田:自民党安倍さん。

安倍:それは違います。私たちの姿勢は基本的に変わりません。あの3.11における福島第一原発事故、過酷な経験をいたしました。国民の皆さまが原子力発電、もうこりごりだと思われるのは当然なんだろうと思います。しかし同時にその中において、われわれは安定的に低廉なエネルギーを供給していく責任があります。安全第一、これは当然でございます。そのなかですぐにゼロにするという無責任なことを言うことはできません。毎日いま、原発は全部止まっているなかで、100億円、毎日100億円の富が、国民の富が海外に出て行っているというのも事実であります。そのなかで、徹底的な省エネ化を行っていきます。また再生可能エネルギーもしっかりと、新たなイノベーションを起こすという気概を持って進めていますし、また火力発電の高効率化も進めていく中で、ベストなエネルギーミックスを、構築をしていく、当分の間はですね、原発もある程度は再稼働したい、しかし低減させていく。もし将来ですね、大きなイノベーションが起こればそれはゼロになっていくということはありえますが、まずはできるだけ低減していく中でベストミックスを構築していきたいと考えています。

島田:はい。そして今度は自民党安倍総裁が質問する側にまわりますが、どなたを指名しますか?

安倍:それでは海江田党首。

島田:はい、どうぞ。

安倍:今回、民主党はですね、最低保障年金を公約に掲げておられます。われわれ、平成16年に年金の改正を行いました。これは給付と負担のバランスをとるためであります。しかしその後ずっとデフレが続いておりますのでマクロ経済スライドがなかなか効きにくいという状況でありましたが、やっとデフレから脱却をして、マクロ経済スライドが効いて、負担のバランスが取られる中において、またこの年金の運用も、安倍政権ができて、28兆円、これはプラスになりました。残念ながら民主党政権時代はほとんど増えていないんですが、そこで最低保障年金を導入するとですね、民主党政権当時の民主党政権のみなさんも、新たに5%の消費税の引き上げが必要だと。つまり12兆円必要だと、こう言っておられるんですね、税金を投入しなければいけませんから。それははたしていつ5%消費税を引き上げるのか、12兆円をどうするのかということについてお答えをいただきたいと思います。

島田:民主党海江田さん。

海江田:その前にですね、先ほど民主党の有効求人倍率の話もありましたけど、実は民主党の時は有効求人倍率、1番伸びているんですよ。その前の安倍政権、そして麻生政権、これが本当にやっぱり、いろんな事情もありましたけれども、ひどかったわけです。そこから民主党の時代から有効求人倍率も伸び続けていると、そしてそれが今につながっていると、こういう基本的な流れは、こういう流れだということは、やっぱりまずこれは理解をしていただきたいということであります。そして同時に今の最低保障年金ですが、これはやっぱり年金の制度が、働き方によって年金の制度が違うということはあってはいけないと。やっぱり働き方が違っても最後は同じ年金もらえるようにしましょう、そしてその基礎年金に当たる部分というのはこれやっぱり税金でまかないましょうという、この基本的な考え方は私たちずっと維持をしています。そこへ向けてどういう、やっぱりプランを立てていくかということ、片一方でこれは財政の黒字化の問題もありますから、その問題と合わせて今検討しているというところです。やっぱりその方向性はきちっと維持をしているということです。

島田:はい。各党の質問、そしてそれに対する回答を続けましょう。維新の党、江田さん。どなたに質問しますか?

江田:じゃあ、民主党海江田代表に。

島田:民主党海江田さん、はいどうぞ。

江田:あの、分厚い中間層の復活とか、子育て支援とか介護報酬のアップとかね、これはわれわれも賛成ですよ。しかし、じゃあそれを財源をどうするのかと。さっきあの、公共事業ばらまき、これはわれわれも賛成です。何と驚くなかれ、年間5兆円の公共事業費が今10兆円になっているんですね。5兆円も増えている。毎年2兆、3兆、4兆使い残して繰り越しているわけですよ。これはカットすればいいですね、5兆円、われわれも公共事業は否定しませんからね。5兆円はいいですよ。だから5兆円のお金は回す、これもいいと思いますよ。しかし民主党さんね、われわれが言っているような国家公務員、地方公務員、25兆円の総人件費2割カットして5兆円、出せますか? 公務員労組依存と言われていますからね、民主党。そこをぜひ、やっていきたいと思いますけれど、どうですかというのと、もう1点。要するにどうしても民主党は分配重視なんですね。やっぱり稼ぐ力とか成長戦略、そのためには既得権益打破してですね、例えば農業だって減反廃止してね、株式会社参入させて、どんどん新しい血を入れていく、新規参入入れていく。民主党時代は戸別所得補償と言って、のべつ幕なしに全部ばらまいている、これじゃ農業足腰強くなりませんよ。この成長戦略についてもお聞きしたいと思います。

島田:はい。海江田さん、合わせて1分、努力してください。

海江田:はい。あの、ひとつはですね、民主党は行革の先鞭をつけたということは言うまでもありません。先ほど江田さんがおっしゃった7.8%、公務員の人件費削ったのが民主党の時代ですからね、はっきり申し上げて。それから天下りも全部民主党がやりました。天下りの禁止、とりわけ政府系の金融機関のトップに対して天下りは全部これ変えました。ところが、それが自民党になってまた復活をしてしまった。ですから、事業仕分けもそうですけれども、やっぱり民主党は行革の政党である。そして民主党政権の時代には行革を一生懸命やってきたということはこれまぎれもない事実でありますから、自民党になって戻ったことまで私たちのせいにされてしまってはそれは筋違いだということです。それからもうひとつの成長戦略ということですけれども、私たちは今どこに成長の原動力があるかということで、農業の問題、確かに農業を第六次産業化して、これを成長戦略の柱にしなければいけない。それから医療介護も柱にしなければいけない。それから自然エネルギーも柱にしなければいけない、ということで、地域を活性化をしていくことを通じて日本の成長を引き出していかなければいけないということで、一部の大都市の企業だけが活性化をして、そしてそれが成長戦略だ、という態度はとっていません。地域で本当に産業を興していってそれが日本の全体の成長戦略になるということです。

島田:公明党の山口さんはどなたか質問しますか。

山口:自民党安倍総裁に簡単に質問します。

島田:はい。

山口:消費税1年半延期をしました。しかしその間10%に上げてやる予定であった社会保障はどうなるか。この点で心配している国民も多いと思います。われわれは新しい子ども子育て支援策や、あるいは介護の従事する人の処遇改善やあるいは認知症の対策など、財源を確保して実施していくべきだと考えますが基本的にどうお考えでしょうか。

島田:はい、自民党安倍さん。

安倍:はい。今お話がございました。さらなる2%の引き上げを29年4月まで延期をいたしました。しかし18カ月だけでありますから、この財政計画についてもですね、しっかりといつからやるということも決めやすいと思うわけでありますが、先ほど申し上げましたように、一部は低年金の方々の月額5000円というのは額が巨大ですので難しいんですが、例えば子育て支援。これはしっかりとやっていきます。2年間で20万人。5年間で40万人の保育の受け皿は作っていきますし、保育に関わっている方々の待遇改善も行ってまいります。認知症の対策もそうです。今までやってきた、例えばまた難病支援、160万人の方々に対する、お子さんたちも含めて、難病支援もちゃんとやってまいります。できることは出来る限り、介護職員の処遇改善もおこなっていきたいと。こう思っているわけでありまして。できることはしっかりとやっていきたいと。今申し上げた一部にはもうすでに上げた3%分のものも入っておりますが、新たな2%の中でもできるものはしっかりと、子育て支援や介護職員の待遇改善、認知症対策はしっかりとやっていきたいと思います。

島田:はい。次世代の党平沼さんはどなたに質問しますか。

平沼:社民党の安倍党首に質問を……。

島田:いや、吉田さんですね。

平沼:あ、吉田さんに質問させていただきたいと思います。

島田:どうぞ。

平沼:先ほどあのボードを掲げられて、平和憲法を活かすという言葉を作られてます。私どもは、例えば憲法の前文は助詞の使い方が間違っている、それからその成立過程においてはですね、強権でもって押し付けられてきた。また条文間にもいろいろ相互矛盾がある。ですから軍国主義になるということではなくて、やっぱり独立国にふさわしいわれわれの手になる、自主憲法というのを作っていくべきだと。で、そうやって押し付けられてきた平和憲法を活かすというのは、その歴史的な過程や例えば助詞の使い方の間違いや、条文間の相互矛盾。こういうことに関して、どういうお考えを持っているか、これは吉田党首にお聞きをしたいとこのように思います。

島田:社民党吉田さん、お願いします。

吉田:はい。大変質問いただいて光栄でございます。日本国憲法の制定過程には、いろいろご議論があるのは承知をしておりますが問題はその中身だと思っています。平和憲法、国民主権、そして基本的人権の尊重。日本国憲法は世界に誇る憲法だと思っております。アメリカの学者の皆さんも数年前に人権においては憲法9条だけではありません、人権においても、世界に誇るトップクラスの憲法だと評価をいただいております。今、日本国憲法のその三原則をふくめて、それぞれの条文、9条、13条、25条、26条、28条、すべての条文の理念が今、日本の政治において活かされておりません、その理念を活かす政治こそ今、必要ではないかと思っております。

島田:はい。おとなり共産党の志位さんはどなたに質問ですか。

志位:安倍さんに、消費税について2問、端的に質問します。

島田:端的にお願いします。

志位:第一点、現在の景気悪化は消費税8%を強行した結果であり、増税不況だと思います。私は1月の国会質問で、こんな経済情勢のもとで増税を強行すれば、深刻な不況の引き金をひくことになると強く警告し、中止を求めました。安倍さんは、経済対策をあわせて実施すれば、経済の好循環は実現すると答弁されました。しかし現実は、警告のとおりになりました。増税強行は誤りだったと素直に認めるべきだと思いますがいかがでしょうか。2つめ、安倍さんは10%への増税を2017年には必ず実施すると断言されています。しかし消費税増税は必ず景気を壊します。97年の5%への増税は、大不況の引き金をひきました。今年の8%の増税も景気悪化の引き金をひきました。2度も失敗しているのに3度目で景気は悪くならないということがどうして言えるのか。説明していただきたい。

島田:安倍さん、端的にお願いします。

安倍:そもそも、消費税5%から10%への引き上げ。今年3%、来年2%の引き上げは、伸びていく社会保障費に対応しなければ、次世代に世界に誇るべきこの社会保障制度を受け渡していくことは、引き渡していくことはできません。そして子育て支援等、難病支援もそうですが、そうした社会保障の充実も行うことができない。そこで、今年まず3%引き上げを行いました。その前期の1~3がですね、ここで駆け込み需要が思いのほか多かった。プラス6点、最終値決まっていませんが、まぁ6.7%くらいになっただろうと、6.数%となったんだろうと思います。そこで次、4~6(月)が、マイナス7.1%。まぁこれは確かに多かったんですが、しかし、7~9(月)である程度これは回復する。これがマイナスになったことは大きかったんですが、とはいえ、今でも昨年より比べればですね、1月から9月まで経済はまだ成長しているわけであります。いわゆるアベノミクスにおいては、しっかりと雇用が改善し賃金が増え消費が増えているという状況が続いていますから、これをさらに続けていけば、間違いなくですね、平成29年4月には引き上げを行うこともできる環境を作ることができると。こう確信をしています。

島田:はい。生活の党小沢さん、どなたに質問しますか。

小沢:安倍総理にもう一度おたずねいたします。

島田:はい。

小沢:それは農業の問題ですけれども、日本の食料自給率は40%を切っております。欧米先進国と比べても非常に低い数字でございます。私は、日本は完全に主要穀物で食糧自給できると、そう信じております。ただ、そのためには国民全体でこれを支援していかなくてはならない。そう考えております。その意味で戸別所得補償制度を、私は導入を提唱いたしました。これは、ただ単なる補助金というわけではありません。生産性を上げながらも市場の価格に追いつかない場合にはそれを補てんするということでありますけれども、いずれにしてもこの食料自給率は一番低かった英国でさえも70%に達しております。私は日本の事情から考えまして、なんとしてもこの食料の基幹穀物、食糧の自給体制を作るべきだと。そのために国民みんなで生産者を応援すべきだ、そのように思っております。総理はいかがお考えでしょうか。

島田:はい、安倍さん。

安倍:農業が大切だというのは小沢代表の言うとおりだと、それはまったく同感であります。食料自給率も上げていく必要があります。しかし、農家の平均年齢はもう67歳になっている。このままでいいわけがないんです。ですから農業は改革をしていく必要があります。イギリスの例を挙げられました。イギリスもそうですし、ドイツもフランスもみんなそう。一時は自給率、ぐっと落ちました。その後自給率を高めることに成功した。どうやって成功したかといえば、みんな得意な農産物を作ってそれをどんどん輸出をしました。日本はほとんど輸出ができてません。日本の農産品というのはとってもおいしいですし品質も高いし、安全です。これをしっかりと輸出をしていきたい。この目標を掲げて、今年5500億円の水産物、輸出することができました。私も海外に出張する際、トップセールスで売り込んでいます。そうしたこともしっかりと進めながら、若い皆さんがこの分野で自分たちの情熱で、努力で、新しい地平線が切り開くことができるんだという分野に私たちは変えてまいります。

島田:社民党吉田さん、どなたに質問しますか。

吉田:はい。公明党の山口代表に質問いたします。集団的自衛権行使の閣議決定についてでございます。私は山口代表は公明党の中ではどちらかというと集団的自衛権行使容認に反対の立場であったというふうに理解をしております。そしてあの、政権内でいろいろご議論されて、そしてギリギリ、いろいろご努力いただいた結果として、閣議決定の内容、非常にわかりにくい内容になった、かなり解釈がいろいろできる内容になったのではないかと思いますが、いずれにしても、集団的自衛権に道をひらく内容であることは間違いないと思っております。そこで集団的自衛権とは言うまでもなく自国が攻撃されていないにもかかわらず他国の戦争に助太刀する権利であります。やっぱり現実にはですね、アメリカの戦争に協力を求められたら日本は断ることができなくなるのではないか、もう全国まわって私も多くの皆さんからそういうふうに聞かれます。総理は何度もアフガニスタンやイラクに自衛隊が行って、武力行使をすることはない、と言われているわけですが、やっぱり法律にそれを書き込まなければですね、担保にはならないと思います。その法律を書き込むことについて、山口代表、どのようにお考えかお伺いします。

島田:公明党、山口さん。

山口:7月1日の閣議決定で憲法の考え方を明確に示しました。これまでの政府の憲法の考え方の基本を守った。そして、それを外れていくことはさせないという憲法の歯止め、規範性を守った。そしてこの考え方はこれからもずっと維持していくと。つまり解釈はこれ以上変えない。これを確定したわけです。そして閣議決定にはこれまでの専守防衛の平和国家としてのあり方、また外交活動が重要である、ということも書き加えました。そのうえで、今吉田さんは自分の国が攻撃されていないのに外国を助太刀する権利が集団的自衛権だとおっしゃいました。そのような意味でのいわゆる他国を防衛するための武力の使い方、このいわゆる集団的自衛権は否定しているということです。われわれが認めたのはあくまでわが国の国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆されるような明白な危険がある場合のみということであります。そしてそれは予算委員会でその解釈の仕方が明確に安倍総理から述べられました。これらを基にして、安全保障の法制を忠実に作っていきたいと、こう思っております。

島田:はい。第一部、あと二問二答で終了したいと思います。安倍さん、質問どうぞ。どなたです?

安倍:それでは山口代表に。

島田:山口代表。

安倍:質問させていただきたいと思います。私は、地球儀を俯瞰する戦略的な外交展開をしてまいりました。その際、トップセールスも行い鉄道等のインフラ輸出を、一昨年の3兆円から9兆円、3倍に増やすことができました。また北京に行った際、これは50カ国目ではありましたが習近平主席と首脳会談を行うことができました。習近平主席との首脳会談にむけて大変山口公明党の皆さまにもお手伝いをいただいたわけでございます。国連外交においても、公明党は人間の安全保障と先駆的な役割を担ってこられたと思います。今後公明党が目指しておられる外交についてお話をいただきたいと思います。

島田:公明党山口さん。

山口:われわれはこれまでの日本外交の基本、特に人間の安全保障中心として国際協力を進める、人道的な支援活動を強化していくということが重要だと思います。また平和の問題も、専守防衛、そして非核三原則、あるいは他国の脅威となるような軍事大国にはならないと、こういったわが国の外交安全保障の基本姿勢を守っていくべきだと、こう考えます。そのうえで中国や韓国との関係は与党の中でこれまで対話と交流によって継続的な友好関係を築いてきた、これを活かしながら政府同士の関係を安定的に保つべきだと、このように考えております。そうした観点から、われわれの政権はできた当初、政治対話が途絶えていた中国とも安倍総理の親書をお預かりして、中国に私が赴き、対話を開始をいたしました。これからも継続的にこれらの政党、そして政治家の役割を保管しながら、日本と国際社会との関係を良好に保ってまいりたいと思います。

島田:はい。第一部最後の質問になります。民主党海江田さん、どなたにご質問ですか。

海江田:安倍総裁に2点です。1点は短くしますが、あの、前回の総選挙の選挙公約で約束をしていました、この幼児の教育費の無償化。これはまったくこの2年間やられてこなかった。これをどうするおつもりなのかということ。それからもうひとつはやはり集団的自衛権の問題であります。この集団的自衛権は、先ほどお話が出ましたけれど、日本の国が攻撃されていないのにもかかわらず、やっぱり日本の国の自衛隊が他国で戦争をやるということになるわけですけれども、これとこれまで日本が国是に掲げてきました専守防衛とが、どうやって整合性が取れるのか。これやっぱり矛盾するんではないだろうかというふうに思いますが、わかりやすく、どうしてこの専守防衛の原理原則とこの集団的自衛権が矛盾をしないのかお答えをいただきたいと思います。

島田:安倍さん、最初の質問に端的に答えた上で、1分間で集団的自衛権をおねがいしますよ。

安倍:ははは、わかりました(笑)。まず、幼児教育の無償化。われわれ、幼児教育を大変重視をしております。この幼児教育についてもしっかりと充実を前進させているところでありますが、無償化についてはやはり財源が必要でございまして、低所得の方々等も含めまして段階的に進めようと、このように考えているところでございます。そこで、集団的自衛権につきましては、これはわれわれ、先般7月の1日に閣議決定を行ったところでありまして、一部容認をいたしました。しかしその際ですね、その際、われわれは厳しい三要件をつけたわけでありまして、その三要件とはですね、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること、ということが、ちゃんと入っているわけでございまして。事実上、先ほど山口代表が示されたように、他国のいわゆる一般的な集団的自衛権全部を認めることとは違うわけでございまして、そのままにしておきますとまさにわが国が大変な状況になってくるという状況において行う武力行使においてはですね、集団的自衛権という武力行使においては、そういうしっかりと歯止めがかかっているわけであります。来年法整備を行うわけでありますが、当然自衛隊を動かしていく時には国会の承認というのは当然必要になってくるんだろうと、このように考えております。

島田:ありがとうございました。各党首の皆さん、ご協力ありがとうございました。予定通りに進行できました。以上で第一部を終わります。総合司会の川戸さん、お願いします。

(「党首討論会」書き起こし その3へ続く)

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ポリタス編集部
ぽりたすへんしゅうぶ

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