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【総選挙2014】衆議院議員選挙2014の論点

  • ポリタス編集部
  • 2014年12月3日

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いよいよ衆議院議員選挙2014がスタート。各政党は自らのウェブサイトなどでマニフェストを公開しました。そこで今回の選挙での論点について、各党のスタンスに差があるものを中心にまとめてみました。

【経済】


出典:首相官邸

アベノミクス

安倍総理大臣がデフレからの脱却、そして富の拡大を目指して自らの名前を冠して進める経済政策がアベノミクス。大幅な金融緩和を実施し、政府が公共事業などを用いて需要を喚起しました。これによって民主党政権時代より株価は大幅に上昇、円高基調から脱却しました。また数値の上では賃金は上昇し、有効求人倍率も高水準を維持しています。ただしアベノミクスの三本目の矢と言われる成長戦略政策は未だ道半ば。目玉である規制緩和もうまく進んでいません。またアベノミクスの恩恵を受けたのは大企業、そして投資家のみで、国民全般への賃金増加につながっておらず、「給与は下がって物価は上がる」というスタグフレーションの状況に日本経済が入ってしまったという批判もあります。

※参考資料

アベノミクス「3本の矢」(首相官邸)

経済政策パッケージ(経済産業省)

消費税増税


出典:「消費税の円滑かつ適正な転嫁のために」(内閣官房、内閣府、公正取引委員会、消費者庁、財務省)

少子高齢化によって社会保障費が増え続ける日本。その財源として政府が用いようとしているのが消費税です。消費税は法人税や所得税と比較して景気に左右されにくく、勤労世代だけでなく高齢者世代も負担する公平な財源であるから、社会保障財源に適しているというのが政府の主張です。しかし消費に等しくかける税金ですから、消費を落ち込ませる効果があることも事実です。

「社会保障と税の一体改革」として消費税の増税を決めたのは先の野田政権。2014年4月には消費税率を8%へ、そして2015年10月には10%に上げるという法律でした。ただし税率アップの条件として「消費税率の引上げに当たっての措置(附則第18条)」と呼ばれる条件がついていました。これがいわゆる「景気判断条項」。消費増税を決定する際に景気が落ち込んでいれば、消費増税を停止してもよい、という条項です。

安倍総理大臣はアベノミクスがうまく行っているとして、法律通り2014年4月には消費税率を8%にアップさせました。しかし8%増税以降、国民の消費は冷え込み、2四半期連続で日本経済はマイナス成長となってしまいました。そこで安倍総理大臣は2015年10月の10%への増税を18カ月、2017年4月まで延期、ただし再延期は行わないという方針を示しました。この消費税増税延期に反対するマニフェストを出した政党はありませんが、「2017年4月には必ず上げる」という方針が今回の選挙の大きな争点になっています。また食料品などの生活必需品に対する税率を低くする軽減税率の導入を求める声もあります。

※参考資料

社会保障と税の一体改革(内閣官房)

消費税引き上げの理由(財務省)

食料品等に対する軽減税率の導入問題(要約)(国税庁)

消費税「導入」と「増税」の歴史(nippon.com)

女性が輝く日本へ


出典:輝く女性応援会議オフィシャルブログ「SHINE!」Powered by Ameba

アベノミクスの成長戦略の中で重点的にアピールされているのが女性の社会進出。「待機児童の解消」「職場復帰・再就職の支援」「女性役員・管理職の増加」など、女性の社会進出を妨げている障壁の解消が議論されています。2014年度中の女性活躍推進法案の成立が見込まれていましたが、今回の衆議院の解散で廃案となってしまいました。また安倍内閣が進める施策のほかに、子育て支援のための給付金や、企業における女性雇用率の設定などの論点が各党のマニフェストにあらわれています。また多くの女性が活躍するフィールドとなっているNPOについて、政府はその寄付の税額控除の見直し方針を示しています。女性の活躍という観点からも注目が必要です。

参考資料

女性が輝く日本へ(首相官邸)

成長戦略としての女性の活躍推進(内閣府)

どうなっちゃうの?NPO税制 / NPO議員連盟×駒崎弘樹×松原明(SYNODOS)

TPP


出典:TPP政府対策本部

環太平洋の12カ国の国々の間での経済連携を進めるために交渉が進められているTPP(環太平洋パートナーシップ協定)。これは従来の貿易協定とは異なり、関税だけでなく、人の行き来や投資、金融、サービスなどの分野についても規制を緩和しようという協定です。TPPによって自由な貿易が促進され、政府はTPPによってトータルで3.2兆円のGDP増加を試算しています。ただし自由化によって国内産業の保護がなくなることや各種安全基準の実質的な低下などの懸念があり、農林水産業に従事する人たちを中心に反対の声があげられています。また交渉の過程が一切公開されず、その閉鎖性にも大きな不満の声が上がっています。

当初政府は2013年末の交渉妥結を目指していましたが、2014年末の現在でも妥結の見込みが立っていません。各党のマニフェストはTPP参加の是非から交渉の透明化、重要品目の保護などについて立場は様々です。

※参考資料

TPPに関するQ&A(内閣官房)

TPPから地域社会・経済を守ろう(JA全中)

TPP政府対策本部(内閣官房)への意見提出(thinkTPPIP)

雇用問題


Photo by Dick Thomas Johnson (CC BY 2.0)

牛丼チェーンの相次ぐ閉店などによって労働環境問題が顕在化した2014年。正社員と非正規雇用者の賃金格差も拡大しています。社会が多様化するにつれて様々な自由な働き方が求められる中、労働者の保護とどのようなバランスを取るかが議論されています。特に注目されるのが労働者派遣法の改正。現在の労働者派遣法では派遣労働は一般派遣と特定派遣に分流されていますが、改正案はこの区分をやめ、どのような業種であっても3年を超えて同一企業で派遣労働をすることができなくするものです。派遣労働者が正社員化することを促す効果がある反面、派遣労働者が3年で自動的に解雇になる可能性もあり、労働者保護の観点から問題視されています。現在は衆議院解散により本法案は廃案となりましたが、今後引き続き審議されるかどうかは今回の選挙結果が大きく反映される見込みです。

※参考資料

平成23年度 年次経済財政報告 第3節 人材の有効活用と経済システム(内閣府)

労働者派遣法の見直しについて(厚生労働省)

労働者派遣法改正の主要論点(国立国会図書館)

【地方活性化】


Photo by karinckarinc (CC BY 2.0)

人口急減と超高齢化が進む地方。安倍政権は「地方創生」を掲げ、「まち・ひと・しごと創生法」と「地域再生法の一部を改正する法律」という2つの法律を可決させました。ただし地方が活性化するには地方に財源や権限を移譲し、地方が主体的に行動できる取り組みも求められます。そのわかりやすい一例が維新の党が進める「大阪都構想」でしょう。中央集権を維持し、特区制度の中で地方創生を目指すのか、地方分権を進めるのかが問われています。

※参考資料

まち・ひと・しごと創生本部(首相官邸ホームページ)

平成26年09月 「地方創生」の背景と論点(全国知事会ホームページ)

【国防・安全保障】


Photo by Lance Cpl. Matt Myers

集団的自衛権

2014年7月に安倍総理大臣は憲法の解釈を変更し、同盟国が他国から攻撃された場合に、日本もその同盟国とともに戦う集団的自衛権の行使を容認する基本方針を示しました。この集団的自衛権の行使にむけた実務上の法改正は2015年の通常国会で審議されます。

※参考資料

安全保障法制をめぐる経緯と論点 ―集団的自衛権と武力行使の新 3 要件を中心に―(国立国会図書館)

特定秘密保護法

防衛や外交、スパイ活動やテロの防止に関する情報を「特定秘密」に指定し、そのような情報を漏らした公務員や民間人の処罰を可能とする「特定秘密保護法」が2014年12月に可決しました。国家の安全を守る上で重要な情報を守り、また他国との情報交換を進める上で必要とされた法律ですが、その基準の曖昧さや、議論を無視した与党の国会運営が問題視されました。

※参考資料

特定秘密保護法関連(内閣官房)

【東日本大震災復興】

東日本大震災からまもなく4年。しかし未だ仮設住宅に居住している被災者の方も多く、基幹インフラの復旧も遅れています。しかし2015年には政府の定める集中復興期間は終了し、予算の優先配分などの復興を後押しする特例措置が終わってしまいます。また復興庁は集中復興期間が終わる2015年までに、復興財源として確保された25兆円を使い切る計画を示しています。この集中復興期間の延長を被災地の自治体首長らは求めていますが、各党のマニフェストでは「延長の可否を精査」「集中復興期間の延長」とそのスタンスに差が出ています。

※参考資料

集中復興期間(5年間)における復旧・復興対策規模と財源(財務省)(PDF)

復興予算25兆円、使い切り 増えるインフラ事業(朝日新聞)

村井知事、集中復興期間の延長など求める(河北新報)

【エネルギー政策】

原子力発電所の再稼働にむけた動きが進むなか、責任あるエネルギー戦略として原子力発電をベースロード電源として位置づける自民党。それに対し脱原発的な政策を掲げるそれ以外の党、という政策の対立があるエネルギー政策。ただしその脱原発的な政策にも、再稼働の可否や原発の新設、電力の自由化などの論点もさまざまで、それぞれにグラデーションがあります。

※参考資料

エネルギー基本計画について(資源エネルギー庁)

原発・エネルギー - ニュース特集(朝日新聞)

【行政改革】


Photo by Dick Thomas Johnson (CC BY 2.0)

議員定数削減・一票の格差是正

社会保障と税の一体改革では消費増税とセットで議員定数の削減も議論され、2013年の通常国会終了までに議員定数削減を含む選挙制度改革を行うと、当時の与党である民主党と野党時代の自民党と公明党の間で合意がされていました。しかし実際には消費税増税のみが行われ、身を切る選挙制度改革は未だ実施されていません。現在は一票の重みが選挙区によって大きく違う「一票の格差」問題が生じており、裁判所は現在の選挙制度を違憲状態であるとしています。

※参考資料

「議員定数削減」って今どうなっているの?(THE PAGE)

一人一票実現国民会議

著者プロフィール

ポリタス編集部
ぽりたすへんしゅうぶ

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