ポリタス

  • 視点

細川護煕候補 最後の訴え 書き起こし

  • ポリタス編集部
  • 2014年2月8日
photo:【東京都知事選挙】細川護熙氏 街頭最後の訴え 生中継 - 2014/02/08 18:30開始 - ニコニコ生放送

2月8日に新宿アルタ前で行われた最後の訴えの書き起こしです。

ニコニコ生放送:http://live.nicovideo.jp/watch/lv168397847


皆さんこんばんは。寒いなかを本当に長時間お待ちをいただきまして、本当に恐縮いたします。選挙戦もあますところ、あとわずかな時間を残すだけになりました。今日もまた、小泉さんをはじめ、たくさんの同友の方々とともに、お訴えに上がっておりますが、本当にもうこれが、この選挙での最後のお願いになります。本当に力強い、あたたかいご支援をたまわりまして、本当にありがとうございます。なんとしてもこれは勝たなければならない戦いです。全力で残された時間、戦ってまいります。

私は政治の世界を退いてからしばらく、田舎の方にひきこもって静かにしておりましたが、どうも政府の考えていることは、なにか戦前に逆戻りするような感じのすることもいろいろある。そう思っておりましたが、しかしまぁそれは政府がやることだから、腹のなかにおさめておこうということで、なんとか我慢をしておりました。しかし最近になって、エネルギーの基本計画のなかに、原発を基幹的なエネルギーとして位置づける、そういうことをもくろんでいることがあきらかになった。そして加えて、原発を再稼働するという方向も打ち出そうとしている。今まだ福島では、苦しんでおられる方々がたくさんあります。家を失ったり、あるいは仕事を失ったり、学校にも行けなかったり。そして(汚染水の)たれ流しも続いている。いつ収束するかもわからない。それに、多額の国民の税金が使われている。そういうなかで原発を再稼働する、とんでもない話だと。「殿、ご乱心」とかなんとかいろいろ言われました。それがどうしたと。私はご乱心でもしなきゃ、とても戦うことができない。この今のおかしな政府のやり方に、これはなんとしても物申さなければ、死んでも死にきれない。そんなつもりで。そうしたら小泉さんも、ぜひ一緒に立ち上がってやろう、戦おうと。そう言っていただいて。ここに今、連日立っていただいているわけです。

最初の記者会見の時に、「今度のオリンピックの時は、あなたはもういい歳になっているが」、という話がありました。それがどうしたと、それがどうしたと言ったんです。人の年齢というのは、物理的な数を数えるだけで計るもんじゃない。人の年齢のバロメーターというのは、世の中の不条理に対してその人が戦う勇気を持っているか、戦う気概を持っているかどうか。若い人でも、18歳や20歳の人でも、世の中のおかしなこと正しくないこと、不条理と戦う気概を持っていない人もいる。しかしこの数日、瀬戸内寂聴さんに連日のように来ていただきましたが、寂聴さんは91歳。世の中のおかしなことに対して、断固として戦ってこられた。80歳、90歳でもそういう方もおられる。ですから、そういう気概を持っている人は、間違いなくこれは、年齢を計るバロメーターで言えば、若い人だと私は思います。

今度の東京この知事選挙では、いろんなことが問われている。そういう問題はほとんど、東京の都の職員の方々がつくられた2020アクションプログラムというものがあって、そのなかに雇用とか福祉とか、こと細かに良い政策が並べられておりますが。問題は、トップの人が大きな方向を示す。リーダーに求められているのは、大きなビジョンを示すということです。方向を示すということです。その方向を示して、あとはぐちゃぐちゃ細かいことは言わずに、今東京には17万人の職員の方々がおられますが、その優れた職員の方々がつくられたことを優先順位をつけて、いかに的確に着実に進めていくか。まぁ、一言で言えばもうそれに尽きると言っても良い。問題は、その職員の方々がやる気を持って、モチベーションを高めて、都民の方々の期待に応えていただけるかどうか。それが、一番組織として大事なことであって、私は知事の時も総理の時も、いつも同じようなことを言ってきました。皆さんがやる気を持ってやってもらったら、素晴らしい仕事ができる。ですから、これからもそういう姿勢でもって、もし知事の仕事に就くということになれば、そういう組織の活性化を図っていく。みんながやる気を持ってやっていただくということを、なによりも大事にして、職に精励してまいりたいと思っております。

オリンピックのことで、ただ具体的に1点だけ申し上げておきたいと思いますが。それは今度のオリンピック、実は私あまり、当初は積極的ではありませんでした。どちらかと言うと、たいへん気が重かったんです。東北で、あるいは福島で、これだけの方々がたいへん苦しんでおられる。そういう状況のなかで、今オリンピック・パラリンピックをやるということが、はたして適当なのかどうか。しかし、東京でやるということが決まりました。決まったからには、私は180度考え方を転換いたしました。多くの方がやはりオリンピックはぜひ来てもらいたい、パラリンピックをやりたい。そう思っておられる方々がたくさんおられる。それならば、オリンピック・パラリンピックまでのあと6年数カ月というものを一つの目標の期限として、その6年数カ月の間に、このオリンピックをきっかけに、東京、いや日本が目覚ましく発展をしていく土台がつくれないものかと。例えばどういうことかと言うと、今度のオリンピック・パラリンピックを一切原発の電力を使わないで、自然エネルギーだけでオリンピックを成功させる。これは決して夢物語ではありません。自然エネルギー、再生エネルギー、分散型のエネルギー。今の日本の技術を使ったら、かならずこれは成功させることのできる素晴らしいテーマだと思います。世界の国がびっくりするでしょう、きっと。そして、そのオリンピック・パラリンピックというものをきっかけとして、日本は自然エネルギーの先進国として、世界に飛躍をしていくきっかけにしていきたい。

今、ドイツをはじめとしてヨーロッパのいくつかの国は、古い原発、原発産業というものはもう古い、過去の産業だということで、それをやってきた、進めてきた、大きな中心となってやってきたシーメンスとかGEとかそういう企業も、みんな原発をやめて自然エネルギーに切り替えて。そして今、20パーセント30パーセント40パーセント、エネルギーのなかの電源を自然エネルギーに頼っています。そして発展を遂げつつある。ですから日本の技術をもってすれば、最近は石炭の火力でも、あるいはLNG(液化天然ガス)でも、非常に効率の良いCO2を少なくしか出さない。そうした発電も可能になってきていますし、あるいは、その他の分散型エネルギーでも、あるいは日本では潮力もたいへん進んでいると言われますが、地熱もあるし、もちろん風力や太陽光もあるし。そうした電力を組み合わせて、自然エネルギーの、再生可能エネルギーの電力を組み合わせて、かならずその組み合わせによって、これから日本の経済を引き上げていくことが可能だと、私はそう思っております。

原発をやめるから、経済が落ちていくんじゃないんです。今、原発ゼロのこの時期に、このタイミングで原発を再稼働せずに自然エネルギーに切り替えていくということにしたら、日本の多くの企業が自然エネルギーに参入して、かならず経済は急角度で上昇していく。この1週間ほど、株価は1000円ほど下がりました。年の初めから14パーセントほど株価は下がった。まぁいろんな原因はあるでしょう。しかし、大きな理由の一つは、日本の新しい産業が見当たらない、成長産業が見当たらないと、欧米のエコノミストたちが直感的に感じ始めているからだと言われております。自然エネルギーこそ、国内の需要を喚起する一番の切り札なんです。そこに向かって舵を切らないというのは、本当に愚かなこと。トップがそう判断すれば、決めれば、日本の産業はかならずそちらの方向に向かって動き始めていく。間違いなくそうなっていくと私は確信しております。

原発は安くてクリーンで安全だと今まで言われてきました。私も、総理の時もすっかりその言葉を信じて、まったくその不明を恥じるしかないのですが、そしてまたその責任の一端を感じているところですが、これは、ここにいらっしゃる皆さま方も、あるいはこの時代に生きている多くの人たちにも責任がないとは言えない。私たちの子どもたちに、あるいは孫たちに、原発のゴミを押し付ける。あるいは原発の危険をゆだねてしまうというのは、それは無責任な話であります。なんとしてもわれわれの世代で、そうしたものに決着をつけなければならない。

私は福島の事故のあと、東日本の方で苗木を植える作業をいろいろとボランティアで、こちらにもおられますが(スタッフの方を指しながら)、そういう作業をボランティアでやってきました。福島もあちこち歩いた。そういうなかで、福島の方々が、あるいは福島の地域がいかに痛めつけられたか。そういうことを痛いほど肌で感じてきたから、これはもう原発は絶対に許せない。そう強く思ってきたわけです。ですから、どうか今度の戦い、これは原発に頼って、もう過去の産業と言われる原発に頼って、日本は斜陽の道を歩んでいくのか。それとも、自然エネルギーによって新たな飛躍の時代を日本はむかえていくのか。そのどっちを選ぶのかという、これは大きな分かれ道にきているんです。これからの新しい日本の時代を築いていくために、ぜひ一つ皆さま方にも、ご一緒になってスクラムを組んで、日本の新しい歴史のページを開いていっていただくことを、切に願っております。ぜひ皆さま方のお力を最後まで貸していただきたいと思います。どうぞ一人でも多くの方に、3人でも5人でも、今からまだ、今日中時間があります。お力を貸していただいて、お声を掛けていただければありがたく思います。最後まで勝利を信じて、戦っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

著者プロフィール

ポリタス編集部
ぽりたすへんしゅうぶ

広告