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どん引きしている人へ――最低限の選挙マニュアル

  • 舩橋淳 (映画作家)
  • 2016年7月9日

なぜ候補者はあんなに騒がしくがなり立てるんだろう?
なぜ対立候補をあんなに腐すんだろう?
なぜあんな表面的な言葉ばかりを並べるんだろう? 

そんな思いでテレビやネット上の選挙報道から距離を置いている人も多いのではないでしょうか。

候補者同士のせめぎ合いの情報収集を日々やっている人でないかぎり、ぱっと見で選挙報道や演説を眼にすると、この不自然なまでの「がなり立て」にどん引きしてしまう人も少なくないのでしょう。

そんな人が選挙をどう考えたらいいのか、簡潔に書きたいと思います。

1)まず世界的状況から   

先日、イギリスではEUからの離脱が国民投票で過半数の賛成により、決定しました。

その最大の要因の一つは、EUの域外から流入し、税を納めることなくイギリスの生活保護などの福祉や教育のサービスを受ける移民・難民の問題でした。

イスラエルでは、パレスチナへの強行な爆撃を続ける右派のネタニヤフ首相が政権を握っています。

一方、アメリカの大統領選挙では、外国人移民の排斥を政策に掲げるドナルド・トランプ氏が熱狂的な支持を集めています。

さらにそのトランプ氏の支持を表明した、フランスの極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン氏は、反イスラム主義と難民排斥を掲げ、パリ同時テロ事件後フランス国内で一挙に求心力をつけてきました。


Photo by looking4poetry (CC BY-NC-ND 2.0)

ここに共通するのは、「国を守り、自分たちの生活や仕事を維持するためには、外国人を排除すべき」と「国のため国の利益を考えること。国を愛するということ」が簡単に結びついてしまった状況。言い換えれば、排外主義とナショナリズムです。

不況、格差、貧困など問題の全てが、実は国外からの脅威によってもたらされている、だからその脅威を排除すべきだ、という論理で、「Scare Tactics (“脅し戦法”の意)」といわれます。身の安全を守りたい、という人の本能につけ込む政治の常套手段です。

今、日本国内で起きているのも、この現象といえます。

「北朝鮮、中国が攻めてくる。だから日本は軍備が必要だ」という外からの脅威に、排外主義とナショナリズムを結びつけています。勇ましく戦うというイメージのため、一見頼もしく見え、宣伝しやすいという利点があります。良い悪いの判断はおいて、これは世界中で今起きている現象で、とても賛同を得やすいキャンペーン(政治広報)だということを理解しましょう。

2)もう一つの状況 ネットによる分断・不寛容の時代

世界的に見られる状況でもう一ついえるのは、ツイッターやSNS、ネット掲示板によって人々のつながりが広がっていく一方で、逆に分断が進んでしまっていることです。

「外国の脅威から国を守る国防軍」を持つための改憲を訴える人々と、「日本国憲法9条が掲げる平和主義を守り、軍備など必要ない!」と訴える人々の対立がネット上で激化しています。暴力的な言葉が飛び交い、互いにディスり合う。意見を共有できる仲間内でのうなづき合いばかりが加速し、反対意見は、(顔が見えないからでしょう)暴力的な言葉でののしる。

外から眺めている人々は「どん引き」するでしょう。「ばかばかしい」と政治に関心を失ってしまう人も増えます。ディスり合う暴力的な言葉の「がなり立て」を前にして、議論のディテールを読んで勉強しようとする気すらなかなか起きない。無理もないでしょう。


Photo by Christine Urias (CC BY-NC-ND 2.0)

ネット上では、相手の揚げ足取りも、言葉による攻撃も容易くできます。

「自分が正しく、相手がおかしい」という意見を作り上げるために自分の支える政党や政治家を賛美し敵対する政党や政治家をこき下ろす

「自分が正しく、相手がおかしい」という意見を作り上げるために、自分の支える政党や政治家を賛美し、敵対する政党や政治家をこき下ろす。選挙においては「100%完璧な政策、信念、人格を政治家に求めてしまう」までエスカレートしてしまう現象が起きています。

僕はこれを「不寛容の時代」と呼んでいます。

100%の理想像を他者に求める姿勢は、人同士を退け合い、ケンカさせ、孤立を生みます。そんな「がなり立てる」ディスり合いを目にし、「どちらにも乗り切れない人々」が多くなる状況が、世界を支配しているといってもよいでしょう。

3)じゃ、ボイコットするか?

では、そんな「どちらにも乗り切れない人々」はどうすればいいのでしょうか。

「ばかばかしい、もう政治はやーめた」と放っておくしかないのでしょうか。

投票率は近年ぐんぐん落ちています

衆議院選挙の投票率は、1980年代まで70%以上を維持してきましたが、1990年代に60%以下に急落し、自民から民主に政権交代した2009年の選挙で、やっと69%まで回復しました。参議院選挙では、1989年の選挙が65%、それ以来、ずっと60%を下回っています。2007年は58.64%、2010年は57.92%、2013年は52.61%と低下傾向。今回は初の50%を割り込む可能性もあります。


総務省資料より

一方、世論調査で今回の参院選に「大いに関心がある」「ある程度関心がある」とした人の合計は69%でした(共同通信)。過去3回に関しては、2007年は81.7%、2010年は80.2%、2013年は73.9%ですから、落ち込みは明らかです。また、投票率よりだいたい20%ほど高く、「関心はあるけど、投票にはいかない」という層も少なくないことがわかります。

投票率が50%を割れば、「大半の民意を反映しない」政治家に、この国の政治を任せるという異常事態

今回、投票率が50%を割れば、「大半の民意を反映しない」政治家に、この国の政治を任せるという異常事態が起こります。民主主義が、機能不全に陥ってしまっているといえるでしょう。

また、政治家の方に目を向けると、さらに気分が萎えます。

自民党は、保守本流という本来の姿からほど遠くなっており、先ほどのように世界的視点で見れば右傾化しています。昨年以来、安保法制を改訂し、集団的自衛権を認めたり大企業や富裕層を優遇する税制を敷くなど、市民の感覚からすれば政治が遠く離れている感があります。


Photo by MIKI Yoshihito (CC BY 2.0)

また、スポーツ選手や芸能人など、知名度だけを利用した党の選挙マネージメントもげんなりします。たとえ当選しても、その人が本当に実務ができるのか? 政治家は、客寄せパンダではなく、政策を提言し、制度や法律を作り上げてゆくという、マジの実務があります。スポーツ選手や芸能人にその才能がないと言ってるのではありません。しかし、政治家新入生として当選しても最初の2、3年は任務を勉強するので精一杯でしょう。何かしら、有効な政策提案をし、それを押し通してゆくまで影響力を発揮できるまでには何年かかるのか。その前に次の選挙が来てしまいます。では、そんな人に1票を投じる意味があるのでしょうか。

かといって、野党はどうかというと、まだまだ完全に信頼して政権を託したい、と思えるほど、実力ある政党はない。共闘してがんばってはいるようだけど、束になっても自民党に勝てる気はしない。また、自民党をこき下ろして腐すばかりで「じゃ、どうするのか?」と言いたい。相手を批判するばかりで、景気対策、福祉政策で自分たちの対案を示すことはサボっていて、だらしなさ過ぎます。

では、野党に託すくらいだったら、自民党にしっかりしてもらうしかない、と考えるのか。それともこのばかばかしい「がなり立て」は、一切ボイコットするのか。「どちらにも乗り切れない人々」の悩みは尽きません。

4)そもそもあるべき政治家と市民の関係とは?

そもそも国会議員は、僕たちの代わりに政治を進めてくれる人です。

僕らは日々生きていくことで精一杯です。仕事や学校、子育てで忙しい。

じゃ、僕らの社会のインフラをどうするか、福祉や子育て、教育、それらを支える税金をどうバランスとって配分しつつ、経済を発展させてゆくのか。


Photo by European Parliament (CC BY-NC-ND 2.0)

僕ら市民が全員集まって政治をするわけにはいかない。だから、代表を選んで政治を変わりにやってもらう。これが、間接民主主義と呼ばれる日本の政治システムのベースです。

僕らの代わりにやってゆくということで「代務者」と呼ぶ人もいます。

「国会議員の先生方」といって、崇めたてまつる傾向は間違いなのです。

選挙のときだけ市民にペコペコして、選挙が終わればふんぞり返っているという姿勢もおかしいわけです。国会議員こそ、僕らの延長で働いてくれる人だという基本認識に立ち返る必要があります。上でも下でもなく、市民と同等の平たい関係なのです。

5)社会の停滞から生まれる破壊衝動——アメリカで起きていること

今アメリカの大統領選挙で、かつて見られなかった現象が起きています。

今まで選挙に全く興味を示さなかった層、自分の声が政治に反映されるはずなんてないと諦めていた層が、大きな動きを見せています。彼ら・彼女らが支持しているのは共和党候補のドナルド・トランプ氏。ニューヨークやロサンゼルスで友人に話を聞くと、「政治家は金持ちに向いてしか話さない」と諦めていた人々が動き出していると実感を込めて話します。トランプ氏のスピーチは、人々の不安や恐怖を煽る見事な“Scare Tactics”です。

移民を切り捨てろ、アメリカ人の仕事が奪われる。イスラム教徒はテロリストだ、排除しなければ9.11がまた起きる。地球温暖化は中国がこしらえたデタラメだ。従ったらアメリカの企業が潰れちまう!

「移民を切り捨てろ、アメリカ人の仕事が奪われる。イスラム教徒はテロリストだ、排除しなければ9.11がまた起きる。地球温暖化は中国がこしらえたデタラメだ。従ったらアメリカの企業が潰れちまう!」という主張がトランプ氏の常套句です。

支持層が集中してるのは、白人の低所得者層・男性・大学学位なしの層です。不況で貧困にあえぐ人々が、「最悪の状況になったのは社会のせいだ」と不満を溜めているところへ、「アメリカを危機に追いやっているのは、ムスリムと移民だ! 中国人だ!」と外敵をはっきりと示す。すると、「むかつく奴のことをぼろくそに言って、俺たちのことを守ろうとするドナルド(トランプ)は、他の政治家と違う。俺たちの本音を言ってくれている」と、共感を呼んでいます。余裕のない苦境が、他人の排除願望を生むという、負の感情に訴えるキャンペーンです。今のアメリカの厳しい世相もあり、実は大多数の選挙にいかなかった人々を突き動かしているのです。


Photo by Michael Vadon (CC BY-SA 4.0)

ここにあるのは、社会の停滞から生まれた破壊衝動です。

現状に対する「あきらめ」と負の感情をうまく煽り、「すべてをひっくり返すしかない」という欲求を加速させる手法です。

この破壊衝動は、日本でもよく見られます。

つい最近では、舛添都知事が辞任したときの「舛添けしからん!」の大合唱でしょうか。

東京都知事は5年間で3回代わり、今の安倍政権の前は10年間で7回首相が変わってきました

東京都知事は5年間で3回代わり、今の安倍政権の前は10年間で7回首相が変わってきました。毎度選挙して、1、2年のうちに「○○降ろせ! けしからん」とヒステリックに叩いて降ろす。けれど、叩く方の野党も僕ら国民も「で、次の首相はどうするの? 次の都知事はどんな人物だったら、信頼できるの?」という代替案はない。

毎回文句を言ってこき下ろすけれど、長期的に見れば、どうなのでしょう?

どんな仕事の分野でも結果の見える成果を上げるためには、時間がかかることは僕らは知っています。では、なぜこの悪循環から抜け出すことができないのでしょうか?

6)じゃ、誰に投票するのか?〜破壊衝動から遠く離れるために〜

ここに欠けているのは、完璧でない人間とつきあってゆく覚悟と寛容です。

10ある課題のうち、3つ失敗したけど7つはなんとかやり遂げた。もしくは、4つの政策は評価できないけど6つはすばらしい! と思える政治家を、時間をかけて支えてゆく覚悟ではないでしょうか。

ネットによって“不寛容の時代”が加速している今、3つや4つの欠点をあげつらい叩き落とすことが、どんどん容易になっていることに僕らは自覚的であるべきです。また、欠点といえる判断基準はなく、どちらが正しいかと言えない場合も多く、それは単なる相手とあなたとの“意見の相違”かもしれません。

安易な比較で恐縮ですが、親子や結婚の関係はそうではないでしょうか。相手の欠点や相違を認めた上で、一緒にやってゆくやり方を探ってゆく。政治家を「代務者」として一緒にやっていきたい“結婚相手”を見つけるような寛容さをもって見つめるべきと思います。


Photo by Yih-Ting (niceones77) Lee (CC BY-NC-ND 2.0)

では、どんな政治家を選ぶべきか?

“選んでは叩いて落とす”悪循環から抜け出し、長期的に信頼できる“代務者”を選ぶために見るポイントを整理します(具体的候補者の名前は出しません。自分の目と耳と脳、全身を使って調べて選んでください)。

①【最重要】税金の使い道について、俯瞰して優先順位を語れるかどうか

今年のはじめに僕が監督したNHKのドキュメンタリー番組のために、パリで経済学者のジャック・アタリ氏に話を聞きました。彼は、仏ミッテラン前大統領の補佐官を11年間に渡りつとめた、EU統合の立役者です。あれだけ異なるヨーロッパの国々をまとめあげ、統一したのは彼の知力と統率力があったからだといわれています。

日本の最大の課題は、人口減少

彼は、アメリカのサブプライムローン危機リーマンショックなど、21世紀の世界状況をあらかじめ予言してきました。僕が日本について聞いたとき、彼は日本の最大の課題は、人口減少である、と答えました。ドイツ、イタリア、日本が先進国の中では深刻な人口減少問題を抱えている国だが、中でも日本は目立った対策を何もしていない。このままいくと中国ばかりかベトナムなどに追い抜かれる、衰退の一途だといいました。

このように、国全体で見ると僕らが普段から気づくことは難しいけど、絶対無視できない大問題があります。それらを優先順位をつけて語ることができるか。これは政治家の勉強量と知性が、はっきり試されます。

僕が認識しているだけでも、以下はこの国の最重要課題です。(順不同)

●人口減少=少子化問題
●格差・貧困
●原発・エネルギー問題
●テロ・防災対策
●福祉サービスの不足
●教育の経済負担
●20年以上つづく不況 

これら全体を俯瞰して危機感を持って語り、何から優先的に取り組み、どんな政策をするべきか。それはまさしく、国民の税金を何に優先的に使ってゆくのか、代務者として絶対押さえているべきポイントです。

「○○が問題だ! なんとかしなければならない!」と威勢良くがなり立てるのは、僕たちでもできます。候補者がいかにリサーチと勉強を重ね、具体的な解決策を考え抜いているかどうかを見ましょう

例えば、なぜそんなに多額の国防費を使うのか? それが他の優先順位の中で、なぜ正当化されるのか。候補者自身の説明が、僕ら市民の感覚と合致するのかどうか、を見てみるのもいいでしょう。

②勇ましく軍備を語るよりも、平和外交をちゃんとやってゆこうという人

外国を脅威として語り、危機感を煽る“Scare Tactics”ではなく、外国のことを深く知り、うまく橋渡しをしてゆこうという意思のある候補者が健全です。

③知名度は関係ない

前述のように元スポーツ選手や芸能人で知名度を利用した候補者は、まず疑ってかかりましょう。政党に利用されているだけで、本人に政治家としての実務能力が全くないことが多いからです。そんな人物に自分の“代務者”として何をやってもらうのか? 人気投票ではなく、“代務者”という考えで候補者選びにあたりましょう。

もちろん新人でも、長年にわたって勉強し、準備してきている芸能人候補もいるかもしれません。それは、本人がどこまで真剣に準備をし、①の優先順位を考え抜いているかで判断してください。

しかしまずは、知名度利用は、疑ってかかるべきです。

④「うさんくさい」と感じるセンサーを十分に発揮してすること

人間には、その表情や言葉を発する声によって、それが説得力があるのか、それとも表面的なのかを感じ取る感性があります。候補者選びでもそれを十分に発揮してください。

「がなり立てる」演説の言葉が空虚に思えたり、なんかうさんくさいなぁと思えたりすることがあると思います。なぜ選挙のときだけ景気対策を持ち出し、「経済は必ず上向きになる!」と調子のいいことを言うのか。話しぶりで変だなぁと思う気持ち、それを感じとる自分のセンサーを大事にしてください。アゲアゲにのせる煽動や、対立候補の手ひどい批判、不自然ながなり立てには要注意です。

その候補者が選挙期間以外で何をしてきたのか、ネット検索してみてください。

そうすれば、候補者の言葉が約束ばかりのものなのか、経験と結果が伴うものなのか、が一目瞭然でしょう。 

⑤継続力がありそうか? 〜結果重視〜

①に挙げたような重要課題に向け、具体的に何をしてきたのか?

法案を練り上げたり、行政措置を講じたりなど、目に見える結果を出してきたのか?

それとも派閥争いや政争に明け暮れてきたのか?

その政治家のウェブサイトを検索してみてください。

公約だけ・努力目標ばかりで結果はあまり出ていないのか、それとも地味でもちゃんと政治の実務をしてきたのかがわかります。

“選んで叩き落とす”のではなく、継続的に信頼できる人。今まで手堅く仕事してきて、これからも期待できそうな人を探したいですね。

⑥停滞している国会で活発な議論をもたらすイキのいい人もアリ

今の自民党が、本来のあるべき姿から離れてしまっていると考える人は多いでしょう。実際に、今の自民党は本来保守があるべき「任せておける手堅い安心感」が希薄になり、「がなり立てる」右派的な政治家が中枢を占めています。前述のように、これは世界的傾向です。この状況を心配し、本来の自民党の姿に戻ってほしいと願う人も多いと思います。であれば、

A. 自民党を内部でちゃんと立て直してくれそうな、信頼できる自民党候補者を探し出す。

B. おかしい自民党を国会内で問いただし、真っ当な議論を国会に持ち込んでくれそうな人に託す。

という2つの選択肢があるでしょう。

Aは、今回、選挙の争点の一つである改憲問題に深く関わります。

参議院で3分の2以上の議席を取れば、憲法9条など重要条項を変える改憲を、自民党が進めることができるようになるからです。まだまだ国民的議論が十分なされたとはいえず、それなのに強行採決を行える議席数を自民党に与えてよいのかどうか、十分考えるべきです。

自民党は、今回の参院選で間違いなく圧勝するでしょう。であれば、今回の選挙は野党に体力をつけさせるという考え方もあるはずです。


Photo by 中西求

二大政党制のイギリスで、労働党と保守党が凌ぎを削りあうように、自らの党の政策をしっかり持った上で自民党と渡り合い、どちらがより良い政策かを国会で議論できるような、建設的な姿勢を民進党に期待したいところです。イギリスのシャドーキャビネット(影の内閣)のように、いつでも政権交代できるぜ! といえるほど、政党内の人材と「発射台にのっかってる法案」を準備してもらわなければなりません。今の民進党は、まだまだ頼りないですが、継続的にがんばってくれそうな候補に賭ける手もあるでしょう。

またはBのように、無所属もしくは少数政党で議席数は少なくとも、その発言力で自民党を刺激し続け、議論を活発化させる賢い人材を国会に送りつける! というのもありだと思います。

いずれにせよ、自民党が圧倒的に強いが、本来あるべき姿から離れてしまっている状態に対し、本流に戻ってきてもらうための賢い決断が僕らに求められているのです。

以上、長々と書きましたが、ごくフツーの市民が選挙に対するとき、これだけはチェックすべきというアンチョコのようなものがあれば、と僕は常々思って来ました。①〜⑥を参照にしてもらえればと思います。

そしてもっとも大切なのは、時流に流されることなく、自分の“代務者”を粘り強く見つけて育ててゆこうという意思です。自分の大切な1票を選び抜いてください。

読んでいただきありがとうございました。

著者プロフィール

舩橋淳
ふなはし・あつし

映画作家

1974年大阪生まれ.映画作家.東京大学教養学部卒業後,ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアルアーツで映画製作を学ぶ.処女作の16ミリ作品『echoes』(2001)がアノネー国際映画祭で審査員特別賞・観客賞を受賞.第二作『Big River』(2006)はベルリン国際映画祭.釜山国際映画祭等でプレミア上映された.東日本大震災直後より,福島県双葉町とその住民の避難生活に密着取材したドキュメンタリー『フタバから遠く離れて』(2012)は世界40ヶ国で上映され,2012年キネマ旬報文化映画ベストテン第7位.同スピンオフ作品「放射能 Radioactive」は、仏Signes de Nuit国際映画祭でエドワード・スノーデン賞を受賞。近作は、震災の被害を受けた茨城県日立市で撮影した劇映画『桜並木の満開の下に』(2013)、小津安二郎監督のドキュメンタリー「小津安二郎・没後50年 隠された視線」(2013年NHKで放映)など。現在、新作「フタバから遠く離れて 第二部」が劇場公開中。

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