ポリタス

  • 視点
  • Photo by floodllama (CC BY 2.0)

参政権は死なないための武器である

  • フミコフミオ (会社員(営業職/課長))
  • 2016年7月8日

普通の会社員から見た選挙

「夢も希望もある若者が嫌い」
「子供もいないので自分の生を終えたあとにこの国がどうなろうと関係ない」
「アベノミクスの成否よりも自分で使える金額の増減が大事」
「毎日仕事に追われている」
「政治への期待を失っているだけの42歳サラリーマン」

それが僕だ。

最初に僕のスタンスを明らかにしておこう。憲法は国民のものなので自由に変えればいいけれど、今より変えやすいものに変更すること、憲法改正を選挙の争点にせずに事後民意を得たとして変更に着手するような政治にはノーだ。今日は僭越ながら普通のサラリーマンの立場から2016年夏の参議院選挙への期待と、選挙に参加した方がいい理由についてお話させていただく。

今回の参院選が、派手な盛り上がりを見せないのはほぼ間違いない

まず、申し上げたいのは今回の参院選が、先日行われたイギリスのEU離脱を問う国民投票のような派手な盛り上がりを見せないのはほぼ間違いないということ。ただ、この地味な選挙の中でも少々というには小さくない変化があり、ひょっとしたら(万が一くらいだが)その変化によって、やがて選挙が盛り上がり、この国がいい方向へ進む可能性があるので、その点にフォーカスして話をしてみたい。

政治が「若者」を避けてきた

小さくない変化といえば、18歳選挙権施行である。今回の参院選が施行後はじめての国政選挙であること。マスコミの報道を信じるなら、選挙権が認められたはずの若者の、政治や選挙に対する興味は低いままである。

「どうせ何も変わらない」
「誰に入れても一緒」
「票を入れる人がいない」

……街角インタビューで聞かれる若者の言葉は最近にはじまったことではなく、ずっと続いてきた現象だ(僕も若い頃は同じように考えていた)。

ごく一般的な若者から見れば政治や選挙は退屈極まりないものなのだろう。言い方を変えれば政治が《若者仕様》になっていない。若者の多くが政治に興味を持つとその対応に苦慮するのが面倒なので、わざと若者向けに話をしてこなかったのではないか、などといぶかってしまうくらいに。

政治が《若者仕様》になっていない

「高齢化社会」なんて大昔から言われてきた

ただ、僕が若かった頃と比べると、今の若者は諦めというよりは絶望に近いものを抱えているように見える。たとえば世代間格差や超高齢化社会。それらのツケを払わされるのはほぼ間違いないという絶望。正直なことを言えば、今の若者たちが将来どんなツケを払わされ苦境に立とうと僕には関係がない。ただ、それなりに長く生きてきた先輩として厳しい言い方をさせてもらうなら、「自分のことは自分で守るしかない」。

厳しい言い方をするなら自分のことは自分で守るしかない

恐ろしいことに直近の社会問題として騒がれている超高齢化社会や世代間格差は、僕が子供の頃、約30年前から予想され言われ続けた問題だったりする。つまり今の今まで放置され続けてきたということ(いくつか手は打ってきてはいるが)。問題解決が困難だからということもあるが、その最大の要因は、人間は自分の世代に直接関わる問題しか真剣に考えられないからではないだろうか。上の世代はその世代に関わることしか真剣に考えない。自分の世代のことは自分の手で守るしかない。僕が政治に絶望しながら、特定の政党や政治家を支持しなくても欠かさず投票をするようにしているのは自分を守るために他ならない

参政権は死なないための武器である

わずかな希望があるとするなら日本の政治家は良くも悪くも選挙に一生懸命であることではないだろうか。極端な言い方をするのならば、票につながることに対しては日本の政治家は熱心なのだ。《高齢者の投票率が高ければ高齢者対策向けの政策を打ち出す》《保育園が足りないのがネットで注目されれば保育政策に力を入れる》などなど。もし、若い人たちが将来を少しでも良くしたいのなら、一回の選挙で劇的な改善や変化を期待し、裏切られ政治に幻滅するのではなく、まずは国民の中で集団としてアピールすることで、それなりの政治的な存在感を持つようになってもらいたい。

選挙に行かないというのは緩やかな自殺と同じだ。

参政権を使わない、選挙に行かないというのは緩やかな自殺をしていることと同じだ。それくらいこの国はヤバイ状態である。存在感がない層は切り捨てられてしまうだろう。仮に、票を投じたい政治家や政党がないのなら、自分の考えと最も離れた政党や政治家を見つけて、その対抗勢力に票を投じればいいではないか。何はともあれ選挙を通じて自分たちの存在をアピールすることが大事だ。

今回の参院選に期待するもの

若年層の投票率が上がれば政治は若者の意見を無視できなくなる。政治が停滞し世の中が変わらないのは、同じメンツが票を投じ政治を動かしているからであり、それでは自ずと結果も変わらない。もし政治的に若年層が存在感を持ったら、それが停滞している世の中を打破するかもしれない。そんな淡い期待を僕は抱いているし、18歳選挙権施行直後の今回の参院選がそのきっかけになるかもしれないと考えている。

若年層の投票率が上がれば政治は若者の意見を無視できなくなる

さて、エラそうなことを言ってきたが、一介のサラリーマンにすぎない僕は、赤の他人である若者の将来がどうなろうと知ったことではなく、ただ、自分の手の届く範囲の幸福だけを考えて票を投じるつもりでいる。もし、若者たちが良い方向に世の中を動かしてくれたらちゃっかり相乗りさせてもらうつもりの薄汚れた大人にすぎない。繰り返しになるが自分の身は自分で守るしかないのだ。そのための武器が参政権だと僕は思うのだ。自分を守るため、将来を守るためにこの武器を使ってほしい。


Photo by Brian Rinker (CC BY-SA 2.0)

著者プロフィール

フミコフミオ
ふみこふみお

会社員(営業職/課長)

海辺の町でロックンロールを叫ぶ不惑の会社員です。90年代末からWeb日記で恥を綴り続けて15年、現在の主戦場ははてなブログ(絶賛休止中)。

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