宜野湾市の東西を分断し、経済発展の阻害要因になっているとも言われる普天間基地。では返還後、基地の跡地はどのように活用されるのでしょうか。基地跡地の利用について、その先行事例などとともに考えていきます。
普天間基地返還後の跡地利用についてはこれまで、「大型テーマパークの誘致」や「南北を結ぶ鉄道などの広域交通網の中心地としての整備」、「長期滞在型観光の拠点」など、さまざまな案が議論されてきました。
返還跡地の先行事例としては、那覇市の米軍牧港住宅跡地が整備開発された那覇新都心地区、北谷町のハンビー飛行場跡地、那覇市小禄の金城地区などがあります。いずれの跡地も商業地区として発展し、返還後に大きく雇用員数や税収を伸ばしており、普天間基地の返還跡地も経済振興の起爆剤として大きな期待がかかっています。
普天間基地と同じ宜野湾市にあるキャンプ瑞慶覧、西普天間住宅地区は2015年3月に返還が予定されていて、市や県が国際医療拠点としての整備を目指しています。琉球大学も老朽化が進む付属病院と医学部の移転をこの地区に構想しており、市の計画とともに一大医療拠点となる可能性があります。この計画は今後予定されている嘉手納基地以南の返還予定地跡地利用のモデルケースとして注目されています。
一方でこれまで、返還跡地から廃棄物が見つかるなど、跡地利用を難しくしたり、回復までに時間を要したりするケースもあるため、慎重な調査が必要となります。
また、今回立候補している4氏の内、下地氏、翁長氏、仲井真氏の3氏がUSJ、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの誘致を目指すとしています。USJを運営する企業はIR(統合型リゾート)としてテーマパークやホテルとともにカジノ併設の可能性も探っているとみられており、富裕層に限定した上でカジノを認めるべきとする喜納氏も、USJが目指す方向と一致しています。ただし、カジノ誘致に関しては治安など地域環境への悪影響や、ギャンブル依存への懸念の声が根強くあり、翁長氏は誘致に反対しています
観光が基幹産業として位置づけられる沖縄にとって、統合型リゾート誘致で期待される経済波及効果の面でのメリットは大きな魅力といえます。新知事には誘致にむけた国との調整も含めた検討、対応も求められそうです。