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【沖縄県知事選】「候補者ネット討論会」書き起こし 前編(基地問題)

  • ポリタス編集部
  • 2014年11月13日

2014年11月12日水曜日、沖縄県市町村自治会館ホールで沖縄県知事選挙の全候補者4名を集めた「候補者ネット討論会」が開催されました。この討論会の主催は「niconico」で、討論会の模様はニコニコ生放送を通じてインターネット生中継されました。


photo:【沖縄県知事選2014】候補者ネット討論会(ニコニコ生放送)より

討論会は各候補からのひとことに続いて「基地問題」、「経済政策」、そしてニコニコ生放送のアンケート機能を用いて選ばれたテーマ「教育問題」について各候補が意見を述べました。

ポリタスでは公示後初の全候補が揃った形でのこの討論会の模様を文字起こししました。

◆候補者から一言

角谷浩一(コネクター):さて、まずは本日の登壇者にそれぞれメッセージをいただきます。選挙戦で何度もお話していただいていることかもしれませんけれども、ここであらためまして、またネット討論ということで、県民以外の方にもぜひわかるような話をしていただければというふうに思っております。選挙中で有権者じゃない人たちに言うのは、と思うかもしれませんけど、ネット選挙が始まって、皆さんの声は今、県民以外の人たちにも届いているんだということをぜひご理解いただいて、お願いできればと思っております。なぜ立候補したのか、また当選した場合にはどんな沖縄にしていこうと考えてらっしゃるのか、それぞれの候補者にお話をいただければと思っています。お時間はひとり2分とさせていただきます。時間が過ぎますと(ベルの音)このようにベルを鳴らします。合図の音がなりましたら、たとえ途中でもお話は区切っていただきたいと思います。ではさっそく始めましょう、まずは下地幹郎さんからお願いします。

下地幹郎
photo:【沖縄県知事選2014】候補者ネット討論会(ニコニコ生放送)より

下地:私が今度の知事選挙に出ているという思いのなかに、やっぱり沖縄をもっと発信したい、強い県知事として、この存在感をですね、示していきたいというのが私にはあります。沖縄には沖縄だけでは解決できない、基地問題という大きな課題がありますから、日本政府に対しても発信力がある、また、アメリカ、ワシントンに対しても発信力がある、そういうふうなことをちゃんとメッセージを送れるような強い知事が沖縄には必要だというふうに思っていますから、それをやりたいというのが1点あります。それと経済政策が、このGDPが今3兆8000億って、もう小さいんですよね。なかなかこれが大きくならない。また県民所得が202万円っていう、小さい数字になっていると。貧困率は29%で高い状況。那覇市なんか30人にひとりは生活保護という。この42年経ってもこの悪い数字がですね、なかなか直ってないというものを、私はこの4年間の知事としてですね、全部を一挙に直してみたいと、解決していきたいというような思いがあって、今回も知事選挙に出たということであります。また、基地の問題に関してはもう、自分の主張を訴えるだけではなくて解決をする。19年間も時間が経っているという現実をですね、踏まえたうえで、やっぱり解決をするシナリオを提案するのが大事であって。私は辺野古賛成ですとか反対ですとかね、そういうような主張はこれまで19年間何人も県知事候補が、何人もの名護市長選挙の候補をやってきましたから。私はそうじゃなくても、これはもう県民投票で決着をつけようと。そういうふうな結果の出る政治をしていきたいということです。強い県知事になって、今までの沖縄の未解決の問題を解決をして、そして、最終的に基地問題を県民投票で解決して前に進む。そういう政治をですね、やっていきたいという思いで県知事選挙に出ました。よろしくお願いいたします。

角谷:はい。下地さんありがとうございました。続いて喜納さんお願いします。

喜納昌吉
photo:【沖縄県知事選2014】候補者ネット討論会(ニコニコ生放送)より

喜納:はい。よろしくお願いします。まずは、私は一国二制度。まずね、取りたいと思っております。それから沖縄では二重行政、総合事務局がありますから。これは、いかなる動物でも、えさ場が3つも2つもあると主人がわからなくなってしまうから、その総合事務局をまず廃止したい。そして、IRというね、エンターテインメントというリゾートをね、その総合リゾートというものは考えたい。それから東日本震災でその教訓としてできなかった原発行政。それから、いわば化石燃料のこの、まつわるあらゆる既得権を、日本人の、なんというのかな。勤勉な民と、優秀の技術を使い切れてないという。これ日本が持っている潜在的能力をこの沖縄で使いたいというのが僕の考え方ですね。スマートアイランド。これは風の力、太陽の力、あるいは水素発電とか。そういうものを使っていくという。それからベーシックインカム。これは最低所得保障制度と言うんですけれど、これは資本主義が成熟すると行き着くところは貧富の差ですから、それを超えるためにはまったく均等に金持ちであろうが、貧困者であれ、同じように分配する。そして、資本の循環をつくっていくという考え方ですよね。それから東京とね、それからシンガポール、あるいは香港の間に分け入るために。金融ね。市場としては変えるために、時差を設けるというもんですよね。これがひとつ。ベーシックには断片的に、僕こういう政策でしょ。それから、基地問題。基地問題はつくられたもんであるっちゅうこと、あとで後ほどしゃべると思っていますから。基地問題は普天間・辺野古はない。

角谷:はい、ありがとうございました。続いて翁長さんお願いします。

翁長雄志
photo:【沖縄県知事選2014】候補者ネット討論会(ニコニコ生放送)より

翁長:はい。今回の選挙の焦点は、やはり現知事がですね、4年前の知事選挙において、普天間基地の県外・国外移設を公約をいたしましたけれども、それを破棄をされましたので、わたくしとしては辺野古埋め立て承認にですね、断固反対をしなければいけないということで出馬しております。したがって昨年1月の東京要請行動。普天間基地の、県外、国外、あるいはまた、県内移設は反対。それから、オスプレイ配備の撤回ということで、全県議会議員、全市町村長、全市町村議長というかたちで、要請をしましたけれども、一顧だにされませんでした。これをぜひですね、しっかりとあらためて、選挙でけじめをつけて、この新辺野古基地を作らせないということにしていきたいなと思っております。また、そういうことをするためには、今まで沖縄県は、基地を挟んで保守・革新が分かれていろいろ意見をですね、いがみ合ってきたわけですが、その過去を乗り越えてですね。そして、イデオロギーよりはアイデンティティと、オール沖縄で、この沖縄のパワーを結集して、この厚い壁に挑戦をしていきたいと思っております。それから、沖縄21世紀ビジョンがよく取り沙汰されますけれども、これの一本の大きな柱は、基地依存経済からの脱却ということになります。しかし、もう今の状況はですね、県民総所得の5%しか基地関連収入はございませんので、もう脱却しつつあるというふうに言ってもいいと思います。そういう意味で、もう一つのこの大きな柱であります沖縄の特性を活かして、アジアのですね、ダイナミズムを取り入れて、そして沖縄の経済の発展を築いていく。それから、経済の発展もさることながら、平和の緩衝地帯としてですね、沖縄がどういう役割を果たしているか、そういうところもですね、しっかりとやっていきたいと思います。

角谷:はい、ありがとうございました。では、仲井真さん、お願いします。

仲井真弘多
photo:【沖縄県知事選2014】候補者ネット討論会(ニコニコ生放送)より

仲井真:はい、仲井真ですが。まず今度の選挙でですね、一番有権者にお伝えしたいことは、世界一危険だと言われている普天間基地の移設問題を解決するということであります。そしてこの基地に関係して、基本的には県民のですね、命と健康と暮らしを守りぬくということが、どうしても県民にこの重要性をご理解いただきたいということだと考えております。そして無論、たくさんの課題や政策があります。子どもの貧困の問題とかですね、子育て対策などなど。そしてまた医療や福祉。そして産業振興。離島の振興などなど。さらには、文化、芸能、スポーツといった分野。いろいろな橋が、って言いますか、われわれの生活を向上させていくための、重要な分野が、たくさんございます。無論これらについても丁寧にしっかりと進め、対応し、政策を展開していこうと考えております。以上で結構です。

角谷:はい、ありがとうございました。まずは4名の候補者の皆さんから、全体的なテーマについて、お話をいただきました。

◆基地問題

角谷:少し各論に入っていきたいと思います。今候補者の皆さんの中からも出ました、まずはここからテーマトークといっていこうと思います。今回大きなテーマを3つに分けました。それぞれのテーマに対して、まずはみなさんにお話を伺いたいというふうに思っています。基地問題への対応です。今のお話の中にもありました基地問題ですけれども、それぞれお考えがあるようです。この問題、ことに県内の人にとってはいろいろな生活のなかにある基地ということは当然かもしれませんけれども、県外の皆さんにとってそれがどういうふうに映っているのか、候補者の皆さんからその説明も含めて、していただければありがたいと思います。この基地問題の対応ですけれども、今度は喜納さんから順番にというふうにいって、ひとり2分でいこうと思います。喜納さん、翁長さんの順番でお話を伺います。では喜納さんお願いします。

喜納:辺野古・普天間というのは作られたものであるといえる。それは利権によって作られたといえる。その証拠として、嘉手納庁舎にいけばわかるということですが、そこには左側から、島田始め。真ん中に梶山静六、右っかわに岡本行夫かな。それから、ひとつ沖縄のなかに確かに北部振興とかね。まぁ、島田懇事業というのがあって。実際、その辺野古の基地のコンサルティングをアメリカと結んだのは岡本行夫じゃないですか。3%ね。この450億円という、3%。1兆5000億円ならば、450億円のコンサルティング料になりますから。それぞれまとわりついているのが、普天間グループという。自民党も民主党も全部そこにくっついているじゃないですか。ね? そこで今回の選挙がほとんどゼネコン、あるいは土木選挙になってるという、辺野古というのは単なる看板であって、基本的にはみんなこの土木の人たちがうしろついていますよね。私以外は。ね? だから、そういうことでころりと騙される。僕はあのね、特に沖縄県以外の人たちはよくその辺を見るべきであるという。「またも沖縄をだますんですか」と言いたいですよ。私はそういう意味でも、今回は特に、まあ翁長氏もそうなんですけど後ろには金秀の会長かな? あの方は翁長氏は取り消しをしたんだね? 「このままいくと取り消しになるんじゃないですか? 心配だな~」って話をした時に、「当選させたら、私の方で取り消しサインはしますから」ということで、公然としゃべって、お話をしているじゃないですか。そういう辺野古というね、あたかも沖縄県民の同情を重く使うような選挙に仕立てた利権者たちがいることを私は見抜いて欲しいという。今回、私の気持ちですね。

角谷:はい、ありがとうございます。では翁長さんお願いします。

翁長:はい。世論調査ではですね、この普天間飛行場の辺野古移設反対が今年一貫して75%から80%で推移をいたしております。ある意味では、オール沖縄で反対をしているということになります。そして名護市長選挙、名護市議会議長と議会議員選挙でですね、多くが反対をしているわけでありまして、地元の理解の得られない移設案をですね、実現することは事実上不可能だというふうに思っております。これは本土の人間の方々もご覧になっているということでありますから、日本の国土の0.6%しかないこの沖縄県にですね、米軍の専用施設の74%が存在することは、これは大変異常なことだというふうに思ってます。日本の安全保障は日本国民全体で負担をしていただきたい。これを私はお願いしたいと思います。昨年の12月に現知事が、まるで振興策と引き換えに新辺野古基地の埋め立てを承認してからはですね、そういったメッセージを日本政府、アメリカ政府、本土の方々にメッセージとしていったというふうな感じがしますが、これはもう本当に沖縄県民の誇りを傷つけ、沖縄の将来に大きな禍根を残したというふうに思っております。さらに経済的にもやんばる地域、名護以北の北部のやんばる地域というのは、これから国立公園あるいは自然遺産登録をしながら、国際リゾート産業、こういうものをベースにして情報通信産業からUSJの誘致から、金融特区など、こういった素晴らしい環境のなかで産業を、発展をさせたいということでございますけれども、新辺野古基地ができましたらオスプレイが100機以上来るということが森本元防衛大臣の話にありますので、そうするとそういうのが飛び交う中ではですね、国際観光リゾート産業は育たないと。その損失はですね、大変大きなものがありまして、それを私たちは危惧しております。

角谷:はい、ありがとうございます。では仲井真さんお願いします。

仲井真:あのですね、やはり基地問題は沖縄には無論、たくさんあります、いろんな種類の。ただこの中でまず非常に再優先して解決すべきは、やはり19年前に日米で決めた普天間基地、この危険性を早めに除去しようと、危険性をなくそうと、こういう決めなんですよね。これが結局19年経ってもですね、これが実行できない。これは本当にある意味で両政府、われわれも含めてですね、この危険性の除去を徹底しないといけないと思います。それで解決しないと。ですから、普天間周辺はいろいろ入れますと20万人とか30万人という大きな人口があるわけですから、この人々の命を守るというのがまず第一に優先されるべき。これが今回の一番の問題であると私は考えております。ですからこれをまず解決すること。これをしないで、あれやこれや言ってもですね、現実に多数の県民が、命が危険にさらされているのに、ほっておけるかっていうことです。そして辺野古地域の人々は、周辺地域の人々は、条件はついてますが大部分の人が基本的に受け入れ賛成を言っておられます。こういう時期に、無論この辺野古の地域の人々にはご負担をおかけしますが、この安全の確保であるとか、地域振興であるとか、徹底して我々のほうでも取り組みますが、いずれにしてもこういうかたちが揃っている時にきちっと実行しないと。そして安倍総理も「しっかりと取り組んでいく」と言っておられます。この時に実行すべきだと思いますね。

角谷:はい、ありがとうございます。では下地さん。

下地:この普天間基地の辺野古問題が出てからもう19年の時間が経っているというのも、これしっかり見なきゃいけないです。大田昌秀さんという知事を、辺野古反対したということで稲嶺恵一さんの対抗馬として出してから、仲井真知事まで16年経っているんですよ。このお二人で16年経っていて、今、この「早く早く」と言ってもね、この16年が何だったのかと逆に言いたい。それともう一つには、鳩山さんが県外と言って、また県内に戻る。安倍さんは、自民党の国会議員は4人とも衆議院選挙で県外と言っている人を公認する、これはもう相反する矛盾ですよね、自民党の。この前の参議院選挙も、県外といった人を安倍さんが公認する、これは何なのかというふうに私たちは思いましたよ。だから今、中央の政治も混乱している。今度は公明党は公明党で、連立組んでいて、自分たちは辺野古と言っているのに、この自分たちの党の、沖縄の公明党は自主投票と言い張る。ここもまた意味がわからない。だから、今政治が、全部が混乱しているわけです。あと翁長さんに至っては、この普天間の問題をこれまで一番リードしてきたのは彼ですよ。私に言わせれば、8割引っ張ってきた人だと思うんですよね。その人が急に反対だと言っているのもわからない。だからこういう状況のなかで、私はもう先延ばしをしないで結論を出すというのだったら、6カ月以内に県民投票をして、それで県民の思いで決めてやらないと、この問題はまた政治家がどっちを選んでもまた混乱する。政治家を選ぶ時期はもう過ぎた。これはもう県民が判断して、そのとおり従う。これしか今、僕はないんじゃないと思っていますね。

角谷:はい、ありがとうございます。今お話を伺っただけでも、基地問題は4人の候補者のなかで、見立てが全然違うということがわかります。仲井真さんは、ひとつまず解決しないと次にいかれないじゃないか、という。下地さんの言うように、今までの言ってきたこととみんな違うことで、もう混沌としちゃっているじゃないか、という問題もあります。喜納さんがおっしゃるように、もっと色々な複雑な材料が入ってしまっていて、県民の気持ちがストレートに出ていないんじゃないだろうかという指摘もある。翁長さんのおっしゃるように、次に向かっていくために今はやらなきゃいけないことは何なのか、ということをもう1回立ち止まるべきだという考え方がある。これは今お話を聞いていると、ひとつの基地問題に関して皆さん方向を持っているようですけど、だいぶ違う感じがします。ここで例えば県外の人たちから見て一番ここ、よくいわれる議論ですけど、皆さんどなたがお答えになっていただいても結構ですけど、「基地がないと沖縄はやっていけないんだ」という議論がよく出てきます。ですが、それが本当かどうかなかなかわかりにくい。だけどもそういう議論がある。それはデータ的に統計的にそうなのか、現実的にそうなのか。何なのかわかりませんがそういう声がよく出ます。これについて、どなたか。「本当はこうなんだ」とちょっと語ってくださる方はいませんか。

下地:これについては、まったく今沖縄の経済が基地経済で成っているということはありえませんね。5%、6%の範囲ですから。基地がなかったら沖縄の経済が成り立たないということは一切ない。たまに本土の人で誤解して、そう思っている方がいますけど、ただそこは明確に私は違うと。もうひとつ数字的にですね、高額所得者というのが47都道府県で沖縄が10番目なんですね。貧困率は一番高いのに、高額所得者は10番目だという。この格差があるというのは、基地の軍用地主の皆さんとか、そういうのの現実はあるかもしれませんけど、それが経済全体を成り立てているものにはなっていない、ということですね。

角谷:仲井真さん、じゃあ。

仲井真:基地がなくてはやっていけないというのは、以前はそれに近い状態があったかもしれませんが、さきほどどなたがおっしゃったようにGNP計算上ですね、今は5%、基地のウエイトがですね。基地に掛かるお金の出入りを計算しても5%前後だと言われています。ですから、小さいとは言いませんが、5%は5%ですね。それで従業員数・雇用数が9000人前後ですよ。ですから、これも小さいとは言えませんが、66万人ぐらいが沖縄の中の雇用総数ですから、小さいとは言えませんが、これはこういうものだと。ですから、他の県と同じように皆働いて暮らしてる、と。こういう構造になっていることは確かです。

角谷:では喜納さんいきましょう。

喜納:400年前までは沖縄は自立していたんですよ。その心をまず失っていないと、そう思っていますね。それから、やはりなんというんでしょうかね、世界を見渡すと、富というのは意外とこの環太平洋、特にアジアに集中していますし、沖縄は非常に今チャンスだと見ていますね。香港でも非常に政情が不安定なんですよ。金融資本もどこか安全な場所を求めてくるはずなんです。そうなると、ポスト香港という形からのね、沖縄が非常に今後機能を果たすという。私はそれを見れば全然憂うことはないという感じがあるんですね。それからもう大胆にカジノでも導入すればいいじゃないですかね。パチンコにも沖縄県民は4000億を毎年使ってますよ。交付金は3500億しかないのに。それがどうしてやっているかといいますとね、先祖が作ってきた財産と土地を切り売りしているという。そこでパチンコを道楽が吹き出るわけね。だから、一等地、二等地、三等地から沖縄県民が追いやられてきている。だから今のような形で土木選挙になると、あのケビン・メアの言葉を思い出す。県庁の前でね、「沖縄県民はゆすりとたかりの名人だ」という。革新がゆすり、保守がたかるという構図がね。こんな(「沖縄県民はゆすりとたかりの名人だ」という)恥ずかしい碑を建てなくちゃいけない時代が来るのか、と私思っているの。さっき言ったように。だから自信がある。

角谷:はい、翁長さん。

翁長:私は那覇市長時代、今年2月の所信表明にこう一文を書きました。「基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因である」と、こう書かせて頂きました。これは今少し話がありましたが戦争直後はですね、県民総所得に占める基地関連収入が50%ぐらい。復帰時27年後は15%、今は5%であります。それはいくらかというと、県民総所得が4兆円、基地関連収入が2000億円、観光産業が4500億円なんですね。観光産業の2.3分の1ぐらいになります。そういったような状況の中でございます。それから那覇市の新都心地区、これは215ヘクタールという米軍基地があったのですが、住宅地域だったのですが、それが22、23年前に返されまして、軍用地料がそのときは52億円ございました。今14年、それから私が14年前に市長になって、今は区画整理を経て新しい街に生まれ変わりましたが、この経済効果がどうなったかといいますと、52億円の軍用地料から600億円の商売販売額に変わっています。それから雇用は180名から、今1万8000名働いているんです。それから、税収は6億から97億に増えています。ということは、跡地が、基地が返されると、そういった形で沖縄は外資もどんどん入ってこようとしていますし、そういった意味からすると、本当に基地を返してもらえれば、沖縄の経済の発展が、今見込まれるという、そういう状況ができていますので、どうかまた本土の方もですね、沖縄が基地で食べているんだという認識を改めていただきたいと思います。

角谷:はい、ありがとうございます。まぁ基地問題、いろいろ考え方や、当初4名の候補者のみなさんにお話を伺ったように、その政治的な決断の、判断のしくみはいろいろ違うかもしれませんけど、基地に依存しているというわけではもうないんだと、経済で依存しているわけではないんだということが四方の共通した認識だというふうに受け止めました。問題はその基地問題と経済問題が切っても切り離せないというところはあるんでしょう。今の翁長さんのおっしゃるようにですね、基地を返還することによって経済力がなお高まるんだというお話がありました。続いてのテーマに移ろうと思います。

後半へつづく

著者プロフィール

ポリタス編集部
ぽりたすへんしゅうぶ

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