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  • Photo by torbakhopper(CC BY 2.0)

声を上げ続ける――レズビアンである私の視点

  • 東小雪 (元タカラジェンヌ/LGBTアクティビスト)
  • 2015年8月14日

私はレズビアンの女性です。現在、同性のパートナーと渋谷区に暮らしています。

ここ数年でLGBTに注目が集まるようになってから、私はたくさんのメディアに出演してきました。そうする中で、「メディアの裏」まではわかりませんが、「メディアの中」を垣間見ることができたと思います。

大手メディアの現場では、疑問に思うことが多々起こります。


Photo by Umair MohsinCC BY 2.0

私たちが日頃接しているテレビのニュースは、偏見を助長するような演出がなされているかもしれません。

私たちが手に取る新聞記事は、恣意的な編集がされているかもしれません。

「大手メディアが伝えることは正しい(はず)」と、考えることをやめたり、任せたりしてはいけません。様々な情報の中から「自分の頭で考える」ことが何より大切です。

その上で、ひとりひとりがしっかりと声を上げることです。

今の日本には、「国が決めたことなら仕方がない」「少数者は認められなくても仕方がない」「声を上げたって仕方がない」という空気が蔓延していると思います。


Photo by シンタヤベ

そんな空気の中では、デモに参加すれば「就職に不利かもしれない」と言われ、少数者の人権を求めれば「声高に叫ぶのはよろしくない」と訳知り顏でたしなめられます。

これはとても危険なことです。

私たちが考えることをやめて、全てを権力に任せてしまったときに、静かに戦争が始まります。

立派な意見が言えなくて、自分に自信が持てないかもしれません。それでも、自分の中にある「違和感」を無視せずに「私はこれはおかしいと思う」「私はこんな社会はいやだ」と、小さくてもそうやって声を上げること。これはとても大切なことです。

レズビアンであることを公表しても、暴力の被害に遭うことがない今の日本は、私にとって良い国であるとも言えます。しかしこの国は、マイノリティの人を尊重して、全ての人の人権が守られる社会を作っていこうという動きが、とても鈍いとも思います。

マイノリティが生きやすい社会は、マジョリティも生きやすい社会です。

二度と戦争を起こさず、全ての人の人権が等しく守られる。そして互いの多様性を尊重し合う、成熟した社会を作っていきたいと、強く思います。


Photo by Calvin SmithCC BY 2.0

著者プロフィール

東小雪
ひがし・こゆき

元タカラジェンヌ/LGBTアクティビスト

1985年、石川県金沢市生まれ。元タカラジェンヌ/LGBTアクティビスト。テレビ・ラジオ出演、講演、執筆など幅広く活動中。TBS系列『私の何がイケないの?』、NHK Eテレ『ハートネットTV』、TOKYO MX『モーニングCROSS』などメディア出演多数。著書に『なかったことにしたくない 実父から性虐待を受けた私の告白』(講談社)『レズビアン的結婚生活』(イースト・プレス)などがある。

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