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適菜収内閣総理大臣談話(いわゆる適菜談話)

  • 適菜収 (作家・哲学者)
  • 2015年8月14日

先の大戦が終わりを告げてから、70年の歳月が流れました。

敗戦後、日本は、あの焼け野原から、幾多の困難を乗りこえて、今日の平和と繁栄を築いてまいりました。そのために注がれた国民の皆様一人一人の英知とたゆみない努力に、私は心から敬意の念を表わすものであります。

平和で豊かな日本となった今日、私たちはややもすればこの平和の尊さ、有難さを忘れがちになります。私たちは「過去のあやまち」を2度と繰り返すことのないよう、歴史を直視し、真摯に反省し、若い世代に語り伝えていかなければなりません。

「過去のあやまち」の最大のものは、この20年間吹き荒れた「構造改革路線」「民主化路線」です。

政府は、特に近現代の研究を支援し、世の中が大きく歪んできた原因を究明すべくひき続き誠実に対応してまいります。

とはいえ、もう、やってしまったことは仕方がないから、ここらあたりで全部ストップさせる。

そして順を追って、元の状態に戻していこうと思います。

まずは、ポピュリズムの温床となる小選挙区比例代表並立制を中選挙区に戻す。党中央に権限が集中する政治資金規正法も1994年より前の形に戻す。郵政事業も国営に戻す。労働者派遣法の規制は強化し、構造改革特区は廃止します。司法に民意を持ち込む裁判員制度ももちろん廃止。参院は時間をかけて非民選にします。こちらは改憲が必要ですが、それが本来の上院の姿ですから。

道州制、一院制、首相公選制、移民政策、TPP、農協の解体、配偶者控除の廃止、消費税増税などの方向も、全部キャンセルします。

結局、「改革」「民主化」の大合唱の中で、国の形が大きく歪んできた。

それでロクでもないことになっちゃった。

今、必要なのは「改革幻想」からの決別です。

自民党はかつては保守政党の側面もあったが、今は完全にふわっとした空気に支持される革新政党になってしまった。だから、55年体制と派閥の復活により、もう少し落ち着いた政治を取り戻すために、政界再編を進めます。

いま、戦後70周年の節目に当たり、われわれが銘記すべきことは、来し方を訪ねて歴史の教訓に学び、未来を望んで、道を誤らないことであります。

わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、国民を存亡の危機に陥れました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、国民の皆様に心からのお詫びの気持ちを表明いたします。

著者プロフィール

適菜収
てきな・おさむ

作家・哲学者

1975年生まれ。作家。哲学者。著書にニーチェの代表作『アンチクリスト』を現代語に訳した『キリスト教は邪教です!』をはじめ、『ゲーテの警告』『ニー チェの警鐘』『日本をダメにしたB層の研究』『日本を救うC層の研究』、呉智英 との共著に『愚民文明の暴走』(いずれも講談社)など多数」

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