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  • Photo by Ralph Hockens(CC BY 2.0)

平和自由宣言

  • いとうせいこう (作家・クリエーター)
  • 2015年8月14日

【平和自由宣言 前文】
私たちの民主主義はここから始まる。
戦後七十年の年に。
新たな私たちの『戦無民主主義』は。
長くかかるかもしれない旅のために私たちは、ひとりひとりのかたわらにこの宣言を置く。

【平和自由宣言 1】
私たちは平和を求める。
それは自由を求めることと同じである。
したがって私たちは宣言の名に平和自由と並記する。
平和抜きの自由はなく、自由抜きの平和はない。
私たちはふたつを同時に目指す。
どちらかを諦めて後回しにするなら、もう一方も失ってしまうから。

【平和自由宣言 2】
平和自由を目指す運動は、参加するあらゆる個人を守り解放する。
そうでないならば結局、運動は対抗する権力と同じである。
運動のために個人が抑圧されてはならず、むしろ個人のためにこそ運動は是正され続けなければならない。
それが不可能ならば運動は内部から疑われるべきだし、時に差し止められても構わない。

【平和自由宣言 3】
暴言はどのような集団、どのような個人からも一気に退けられなくてはならない。
言葉の暴力の効果は肉体的暴力と同じかそれ以上であり、心を殺し肉体を傷つける。
支配を好む者たちの言葉遣いを私たちは避けて進もう。

【平和自由宣言 4】
『ひとりの生命は地球より重い』という不思議な言葉をもう一度畏れなくてはならない。
ひとりがそれぞれ他の人間すべてより尊いとは。
しかし諸君、人権はそのような考えからしか来ない。
あらゆる力によって彼らの目的のために抑圧される者よ。
平和自由宣言はあなたの存在を地球より重く扱うために生まれた。

宣言する。
あなたがたはそれぞれ、他の者すべてよりも常に重い。

 

(宣言は行使されてこそ、そのたびに意義を増す。例えばネット上であなたが言葉の暴力を受けていると考えた時、あなたは相手に「平和自由宣言3を適用します」と書いてこのページへのリンクを添付すればいい。あなたは【平和自由宣言】によって守られる)




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著者プロフィール

いとうせいこう
いとうせいこう

作家・クリエーター

1961年東京都生まれ。作家、クリエイター。早稲田大学法学部卒業後、出版社の編集を経て、音楽や舞台、テレビなどの分野でも活躍。1988年、小説『ノーライフキング』でデビュー。1999年、『ボタニカル・ライフ』で第15回講談社エッセイ賞受賞。他の著書に『ワールズ・エンド・ガーデン』、『存在しない小説』、『ゴドーは待たれながら』(戯曲)、『文芸漫談』(奥泉光との共著、後に文庫化にあたり『小説の聖典』と改題)、『Back 2 Back』(佐々木中との共著)、『想像ラジオ』など。最新刊は『我々の恋愛』。

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