私はレズビアンの女性です。現在、同性のパートナーと渋谷区に暮らしています。
ここ数年でLGBTに注目が集まるようになってから、私はたくさんのメディアに出演してきました。そうする中で、「メディアの裏」まではわかりませんが、「メディアの中」を垣間見ることができたと思います。
大手メディアの現場では、疑問に思うことが多々起こります。
Photo by Umair Mohsin(CC BY 2.0)
私たちが日頃接しているテレビのニュースは、偏見を助長するような演出がなされているかもしれません。
私たちが手に取る新聞記事は、恣意的な編集がされているかもしれません。
「大手メディアが伝えることは正しい(はず)」と、考えることをやめたり、任せたりしてはいけません。様々な情報の中から「自分の頭で考える」ことが何より大切です。
その上で、ひとりひとりがしっかりと声を上げることです。
今の日本には、「国が決めたことなら仕方がない」「少数者は認められなくても仕方がない」「声を上げたって仕方がない」という空気が蔓延していると思います。
Photo by シンタヤベ
そんな空気の中では、デモに参加すれば「就職に不利かもしれない」と言われ、少数者の人権を求めれば「声高に叫ぶのはよろしくない」と訳知り顏でたしなめられます。
これはとても危険なことです。
私たちが考えることをやめて、全てを権力に任せてしまったときに、静かに戦争が始まります。
立派な意見が言えなくて、自分に自信が持てないかもしれません。それでも、自分の中にある「違和感」を無視せずに「私はこれはおかしいと思う」「私はこんな社会はいやだ」と、小さくてもそうやって声を上げること。これはとても大切なことです。
レズビアンであることを公表しても、暴力の被害に遭うことがない今の日本は、私にとって良い国であるとも言えます。しかしこの国は、マイノリティの人を尊重して、全ての人の人権が守られる社会を作っていこうという動きが、とても鈍いとも思います。
マイノリティが生きやすい社会は、マジョリティも生きやすい社会です。
二度と戦争を起こさず、全ての人の人権が等しく守られる。そして互いの多様性を尊重し合う、成熟した社会を作っていきたいと、強く思います。
Photo by Calvin Smith(CC BY 2.0)