10月13日にNHK総合で放送された希望の党の衆議院比例代表選出議員選挙政見放送の書き起こしです。
希望の党の政見放送です。お話は、希望の党代表・小池百合子さん、弁護士の松澤香さんです。
松澤:みなさん、こんにちは。弁護士の松澤香と申します。小池さん、今日はよろしくお願いします。
小池:よろしくお願いいたします。
松澤:小池さんとは、東京都の未来ビジョン懇談会の委員会を務めさせていただいたのがご縁で、その後いろいろな問題について議論をさせていただくようになりました。それにしてもこの度の希望の党の結党、大きな決断をされましたよね。今回、何が一番小池さんの背中を押したのでしょうか。
小池:はい、やっぱりいまこそ改革を進めるチャンス。このチャンスを逃しては、これから日本は大丈夫か、そんな思いがあったことです。日本はいま、戦後で2番目の好景気、経済指標はそのように伝えているんですけれども、実際にその好景気、実感している方がどれくらいいらっしゃるんでしょうか。松澤さんいかがですか。
松澤:いやぁ、正直景気が良くなったという実感は全くないです。今後の日本がどうなるのか、自分たちや子供の将来についてもとっても心配です。
小池:まあね、おそらく多くの方々、松澤さんと同じ感覚じゃないでしょうか。老後の備えは大丈夫なのか、正社員になれない、低所得で結婚・出産になかなか踏み切れないといった、あらゆる年代で不安を抱えていらっしゃると思うんですね。そしてこれまでは、日本というのは、少しずつ良くなればいい、現状維持ばかり続けてきたわけですけれども、いま鳥の目で世界を見ますと、日本の縮小というのは大変大きな問題になっています。たとえば、私キャスターをしていた頃の90年代、バブル経済の影響で日本企業は勢いがあった、輝いていた。ところが2000年代に入りますと、中国があっという間に経済力を伸ばしました。時価総額ランキングを見てもですね、中国企業の存在感が本当大きくなりました。そしていま、どうなっているか。IT市場が世界を席巻する、これはすなわち、アメリカ企業の独壇場ということなんですね。日本はどこいっちゃったんでしょうか。
松澤:世界経済がこの25年間で大きく動いてきたのに対して、日本経済は停滞を続けていたと言っても過言ではないですよね。
小池:そうなんですね。たとえば、社会の担い手である女性。女性の活躍もそうなんですね。女性の社会進出、この安倍政権、これまで大きく掲げていましたけれども、現状はどうでしょうか。まだまだ働く女性、いろんな障害があるんじゃないですか。
松澤:はい、私も1児の母として待機児童対策、とくに認可保育園と認可外保育園の不公平の解消など、熱心に取り組みたい政策の1つです。自分自身の経験からも、出産し、子育てをしながら仕事を続ける難しさ、痛感しています。結婚したから、子供が生まれたからと、そういう理由で女性がキャリアを諦めなければいけない。そういう現状は変えていくべきだと思います。
小池:とても日本的な現象なんですよ、それは。女性がね、活躍できる社会っていうのは、結局みなさん誰にとっても暮らしやすい国だと。ある種の象徴だと思うんですね。私は都政でも女性の活躍進めてきました。今度は、国政でしっかり進めていく。その仲間を国政に送り込みたい。ちなみに、いろんな調査があるんですけれども、女性国会議員の比率っていうのは世界のなかでも日本は下から数えたほうが早い。163位っていうような不名誉な数字にもなっています。
松澤:小池さんは、日本の問題はしがらみのなかで遅々たる改革しか進まないことだとおっしゃっていますよね。私もかつて年金積立金管理運用独立行政法人、一般にGPIFと呼ばれる組織のガバナンス改革担当参与としてアドバイザーとして、時の厚生労働大臣を補佐させていただいたことがありました。当時の大臣が打ち出した改革は、関係者の抵抗によりなかなか進まなかったことを鮮明に覚えています。
小池:なんだか受動喫煙問題を思い起こさせますね。私もね、政権与党のなかで、いろいろと匍匐前進の制度改正、なかなか進まない制度改正を目の当たりにしてきました。1ミリ1ミリの変化ではもう世界の変化についていけないんですよ。そこで、守るべきはしっかりと守る、変えるべきは大胆に変える。それがいまの日本に必要だと考えています。
松澤:そのために希望の党では、幾つかの具体的な政策を掲げていますよね。
小池:はい、そうなんです。今回の解散総選挙、北朝鮮情勢がこういうなかにあっていかがなものかと思いますが、でも、ここは改革のチャンスです。日本をリセットするチャンスだ、そういうふうに思っています。そのために、私たちは3つの大きな柱、政策を立てています。まず1つが、「消費税の増税を凍結」いたします。好景気の実感がないなかでね、またこれを10%に上げるということになりますと、より消費を冷え込ませてしまう。財源問題がありますけれども、まずは国会議員、自らが身を切る改革を行っていく。それから、さまざまな歳出削減を行います。国有財産の売却なども徹底して行います。補正予算、すぐ何兆円って出すんですが、ここなどもしっかりと目を配らせていかなければならないと思っています。2つ目、「原発」です。2030年までに原発ゼロを目指してまいります。省エネの徹底、そして再生エネルギーの徹底利用、これらの3本柱で工程表を描いていきます。
松澤:私は国会に設置された原発の事故調査委員会の調査課長を務めておりました。調査を通じて、国民の安全よりも訴訟リスクを回避することや、一度決定したエネルギー政策への影響を重視してきた経緯を、目の当たりにしました。行政は本当に国民の方を向いているのかと、強く疑問を持ちました。未来に向けてしがらみなく、エネルギー政策を議論する必要があると思っています。
小池:はい、そして3つ目は「憲法改正」なんですが、私はね、昨年の都知事選からずっと政策の一丁目一番地っていうのは、情報公開だと言ってきました。国民の知る権利を憲法に明確に定めて、国・自治体の情報公開を進めていきたいと考えています。9条だけではないんですよ。広く憲法全体の見直しを時代に合わせて与野党で協議する。そんな必要があると考えています。
松澤:おっしゃるとおり、今回の解散のきっかけとして情報公開の問題があります。国民が自分で国のあり方を決めていく、という観点からも、行政の透明性、非常に重要だと私も感じています。
小池:そうですね、例の森友・加計疑惑。これもですね、資料がない、記憶がない、知らない、ということばかりで、大変不信を呼んできました。こういうことではいけません。やはり、情報公開を徹底する、公文書管理を徹底する。このことを私たちは国政の場において進めていかなければならない。私たち希望の党は、国政を透明化して、国民とともに進める、そんな政治を実現してまいります。既得権益とかしがらみなど、これを排除して、国民ファーストな政治を実現していく。そして、日本にあらゆるものがありますが、足りないもの、それは希望です。今日よりも明日がきっといい。希望を持てる社会づくりを進めてまいります。そのためにみなさんの1票を希望の党に託していただきたいと、このように考えております。国民の国民による国民のための希望の党。国民ファーストの希望の党。どうぞみなさま、希望の党、小選挙区、比例代表ともにみなさまのご支援、心からお願いを申し上げます。どうぞよろしくお願いをいたします。
希望の党の政見放送でした。