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【総選挙2014】実行されない計画はただのゴミ

  • 小山龍介 (コンセプトクリエイター、デザインコンサルタント)
  • 2014年12月9日


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新規事業のコンサルティングを行っていて常々感じるのが、すばらしい計画があったとしてもそれを実行できなければまったく意味がないということだ。実行されない緻密な計画ほど無駄なものはない。

実行力という評価基準

今回、私は自民党に投票する。安倍政権の「計画」すべてに賛成だというわけではもちろんない。しかし少なくとも「実行」したという点で評価する。経済政策について賛否両論あるなか、軸をブラさずに計画を実行したことは特筆に値する。

それにしても民主党の体たらくはほんとうに残念だ。国会で「うちわ」問題ばかりを取り沙汰したように政局優先の運営が目立った。選挙となってあわてて「消費税増税延期」へと手のひらを返すさまもそうだ。政権をとって自分たちが一体何をしたいのかが見えてこない。「財源問題は喫緊の課題であり、消費税は予定通り増税すべき」と主張するのであれば、やりたいことも見えてきただろう。

実行力とは良くも悪くも、ブレない軸からしか生まれない。ブレる軸から実行可能な骨太な計画を生み出すことはできないからだ。

実行するなかで最適解を探していく

もちろん、どんな計画でも問題は発生する。その結果、変更も余儀なくされる。そのひとつが消費税増税延期である。大切なことは、過ちに気づき方向転換することだ。私の自民党への投票は、安倍政権への信任の投票であり、その実行力への期待である。そして同時に、実行から学ぶプロセスに対する信頼である。行動し学びながら進むことこそが、複雑な世界で最適解を見つける最短距離だ

もし、アベノミクスの実施が先送りされていたらどうだろうか。問題は顕在化しないままだったに違いない。円安・株高を実現したものの、本質的な経済の回復は見えてこない。やはり、規制緩和などによる成長戦略がなければ、本質的に経済状況は改善しないのだ。

矛盾と向き合い、しなやかに変化する

経営とは矛盾のマネジメントである

経営とは矛盾のマネジメントである。国家運営についても同様である。沖縄の基地問題がさいたる例だろう。日本と沖縄の関係、日本とアメリカ、中国などとの関係など、複雑な問題が絡み合っている。沖縄県知事選挙は、沖縄県人自ら意思表明した結果だ。どのように沖縄の方々の気持ちを汲み取っていくのか。

安倍政権への要望があるとすれば、状況が変化に即応する判断だ無責任に「県外移転」を約束するようなことは論外でも、当初の計画へ執着しすぎてもよくない。

計画は実行されなければ無意味だが、同時に計画を実行することそのものが目的になってはいけない

計画は実行されなければ無意味だが、同時に計画を実行することそのものが目的になってはいけない。「なんのために計画を実行するのか」という目的を見失ってはならない。増税延期のように、勇気を持って変更することも重要だ。

沖縄の基地問題は、究極には東アジア地域における平和の問題だ。そうした目的に基づき判断してほしい。ブレない軸と同時に、状況に対応するしなやかさを期待したい。


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今こそ、実行力のある内閣を選ぶべき

与党圧勝と予測されている。その予測が当たれば、次期安倍内閣は強い支持基盤を得て、さまざまな計画を実行に移していくだろう。そのいくつかは、野党が反対するなかで実行され、ある面で見れば「ゴリ押し」と受け取られることもあるだろう。しかしそれでもなお、山積する問題を抱えた日本の政治状況において、安倍政権が国民からの強い信任を得て、計画を実行することに期待を寄せる。

著者プロフィール

小山龍介
こやま・りゅうすけ

コンセプトクリエイター、デザインコンサルタント

1975年福岡県生まれ。京都大学文学部哲学科卒。2006年より新しいワークスタイルを提案する「HACKS!シリーズ」を執筆。さまざまな商品のコンセプト開発を手がける。一般社団法人ビジネスモデルイノベーション協会代表理事として、新規事業開発の領域でも活躍する。名古屋商科大学大学院客員教授。

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