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論考というのではなく、「政治」に対する思いを書くだけなので少々荒っぽいが勘弁してほしい。
若者を代表する政党よ、いでよ!
まず、なんで「若者」(といっても子供から50代までの、所謂「団塊の世代」より若い層)を代表する政党が現れないのか、不思議でしょうがない。
与党が最大多数をキープするために、老人に耳障りのいいことしか言えないのは当たり前だろう。野党が同じようなことを言っても存在価値はない。
信用ならないのは「福祉の充実」「医療や教育の無償化」「基地無くせ」「原発即時ゼロ」などの「べき論」「机上の空論」を声高に主張する輩だ。
人口減で働き手が少なくなり、企業も海外展開する(投資が内需ではなく外需に向かう)中で税収が上がるはずはないのだから、あれもこれもが実現不可能なことは小学生にも分かるはずだ。票を呼び込むためだけに無理矢理やろうとすれば、国債を刷り、これから生まれる赤ちゃんにもお金を借りてバラまくしかない。
もう、こういう高度成長期の古い手法はいい加減卒業して欲しいと思う。
誰が信用するに足るか
私が信用するとすれば、次の3つの問いかけに真面目に答えてくれる政治家だ。
(1)社会保障費をどう削って1000兆円の借り入れを減らすのか?
(2)日本は移民を受け入れるべきか、否か? 促進するならどういう方法で?
(3)原発を含めたエネルギー源をいつまでにどのようなバランスに変えるのか?
キッチリ答えてくれる人に、私はまだ巡り会っていない。
これらの難問に答えた上で、明確に、若者と子どもたちの未来を代表する政党が現れて欲しいのだ。民主党はそうではなかったし、維新もそういう利害を代表するのかと思いきや、絞り込めていなかった。
老人を舐めるな
おそらくどの党も「団塊の世代」以上のお年寄りを敵にするのが怖いのだろう。
しかし、私の実感を言えば、毎週のように地元でテニスをご一緒している60代から80代の元気なシニアたちは、「福祉! 福祉!」と要求する人たちではない。
むしろ孫たちの将来を本気で心配しているから、子どもたちの未来を担う政党に加担する。産業界もやがてそちらにつくだろう。
お年寄りを舐めてはいけない。
この衆議院選挙のあと、統一地方選までの間に「子どもたちと若者の未来」を代表する政党が出てくれば、まともなお年寄りも必ず味方に付いてくれるはずだ。
義務教育をどうしなければいけないのか
私自身は教育改革実践家として「義務教育改革」を本職にしているので、教育政策についても述べておこうと思う。
まず、どうならなければいけないかを先に言う。
学校現場の「正解主義」「前例主義」「事勿れ主義」の呪縛を解くことである。
「正解主義」を少し緩めて、学校をインプット重視からアウトプットの場に変えていくことで、21世紀型の「思考力・判断力・表現力」を養成できる。
そのためには学校を開いて、政治や経済を含めた社会的課題を日常的に考える教育が行なわれなければいけない。正解を当てるのではなく、自分の意見を言える子を育てるためである。そうでなければ、自分のアタマで考える子は育たない。
義務教育の真の危機を理解している人は少ない
あと、1つだけ日本の義務教育界を襲う地殻変動について述べよう。
現在の学校現場は、教員全体の3割を占める50代のベテラン教員によってマネジメントされている。きめの細かい学習指導やイジメへの対処など、多様なノウハウを蓄積しているこの層はあと10年でいなくなる。団塊の世代も多かったから、現在30代、40代の教員の層は薄い。だから新規採用数が増えている。
ところが、とくに都市部の自治体では教職は不人気なので、応募採用倍率が著しく低下しているのが現状だ。このことが何を意味するか、分かるだろうか。
教員の質が確実に低下していくということ。個々の教員の努力とは無関係に、構造的な要因で下がっていくのだ。
核家族化と少子化、それに経済格差の拡大で「家庭」の教育力は数十年間下がりっぱなしだ。地域社会も崩壊に任せていたため、「地域」の教育力も後退している。そして、ついに「学校」の教育力が下がり始めているのだ。
ICTというよりはビデオ動画授業の高度利用が鍵
これを食い止めるにはICTという道具を使って若手の教員を武装するしかない。
すでに佐賀県武雄市でチャレンジが始まっているが、鍵は、タブレットを家庭に持ち帰らせて知識のインプットを動画で行ない、学校に来たらその復習から入って「思考力・判断力・表現力」を鍛えるビデオ予習型(反転)授業だ。
その背後で、家庭で予習したり授業の導入に使う魅力的な動画をオンラインで提供するプラットフォームの構築も始まった。若手の教員でも容易く「正解が一つではない」思考力養成型の授業運営を可能にするサポートである。
読者にイメージをつかんでもらうために、一例として私自身がリクルート社の「受験サプリ」に提供したビデオ授業の一端をご覧いただこう。
全体のオリエンテーションをしているTED風導入編(10分)はこちら。
「稼げるようになるにはどうしたらいいか」「付加価値とは何か」「お金との付き合い方」というキャリア教育的なものから、「自殺や安楽死の是非」「イジメはなくせるか」「赤ちゃんポストや出生前診断の是非」「少子化対策を考える」などのディベート教材まで、全51タイトル(経済編/学校編/仕事編/社会編/起業編)が、12月10日から公開になった。
こうした大胆な試みを実現させるには、政治家の決断と覚悟が必要なことは言うまでもない。
「教育は票にならない」というが、この常識が崩れることを強く望んでいる。