2019年7月8日にNHKで放送された国民民主党の参議院比例代表選出議員選挙の政見放送の書き起こしです。
国民民主党の政見放送です。お話は、国民民主党代表・玉木雄一郎さんと、参議院議員・伊藤孝恵さんです。
玉木:こんにちは。国民民主党代表の玉木雄一郎です。
伊藤:参議院議員の伊藤孝恵です。国民民主党は昨年5月に結党したばかりですので、まだ私たちの理念や政策をご存じない方もたくさんいらっしゃると思います。始めに代表の言葉で、私たちが何を目指す政党なのかお伝えしたいと思います。代表、お願いします。
玉木:はい。私たち国民民主党の合言葉は「つくろう、新しい答え。」です。ただの否定や反対ではなく、常に解決策を示すことに強いこだわりをもった政党です。
特に今回の選挙では、家計第一の経済政策を掲げ、一部の大企業やお金持ちばかりが豊かになる、そんな経済政策から普通の人が豊かになり、安心して暮らせる、そんな経済政策への転換を訴えています。
伊藤:国民民主党は、経済政策に強い政党です。
玉木:そうです。私自身、財務省で経済政策の立案を担当していました。また、国民民主党には日銀出身の議員もいれば、伊藤さんのように普通に子育てをしながら会社で働いてきた、そして生活実感のあるお母さんもいます。その議員のすべてが、日々、時に寝る間を惜しんで学び、国民の皆さん、そして地元の声を聞いて政策を作っています。
伊藤:今、安倍総理は景気回復や経済の好循環を繰り返しアピールされますけども、多くの皆さんはそれを実感できておりません。だからこそ、我々野党からアベノミクスの対案となる具体的な経済政策を聞きたいのだと思います。今回の選挙で国民民主党が主張する家計第一の経済政策の具体的な中身について、代表から説明していただきたいと思います。まず、なぜ家計なのでしょうか。
玉木:はい、いわゆる安倍政権の進めている経済政策、アベノミクスの最大の弱点は、家計の消費が伸びないことなんですね。その原因はとってもシンプルで、賃金が上がらず、家計の所得が増えていないからです。確かに企業の利益は伸びて株価は上がっていますけれども、普通に暮らしている人にその恩恵が届いていません。企業の利益のうち、従業員の給料やボーナスに回っている割合、これを労働分配率と言いますけれども、これ、なんと43年ぶりの低さなんですね。
伊藤:いくら株価が上がっても、企業が儲けても、普通の人の暮らしには直結しない。そういうことですね。
玉木:そうですね。実は実質的な賃金、これは平成8年、1996年が実はピークで、それ以降ずっと下がり続けてるんですね。一方、国の経済政策は昭和の考え方を引きずっていて、今だに企業支援が中心となっています。この構造的な問題を根っこから変えていく政策が、家計第一の経済政策なんです。
伊藤:これまでは企業が儲かれば従業員の賃金が上がって消費も拡大しました。しかし令和の時代ではそれは通じない、そういうことでしょうか。
玉木:そうです。これまでの経済政策はまず企業、とりわけ大きな企業を稼げるようにして、そのうちその恩恵が働く人や中小企業や地方にも広がっていく、そんな前提で作られていました。しかしどうでしょうみなさん、いくら待っても、その恩恵が家計には行き渡っていないと思いませんか。また、今アメリカと中国の対立もあって、これから海外への輸出、これにもあんまり頼れない、そんな経済になってくると思います。そこで、企業を出発点とする好循環ではなくて、この好循環を回す出発地点を変えて、まず家計を豊かにして家計の消費する力を高める、そのことで企業の売り上げが上がって、そして賃金も上がっていくという好循環をつくっていこう、こういう考え方です。いわばGDPの約6割を占める、消費を軸とした好循環をつくりだしていこう、これが私たち国民民主党の主張する家計第一の経済政策の考え方です。
伊藤:具体的にはどのような政策を進めますか。
玉木:まずポイントは税制ですね。政府や日銀の発表する数字を見ても、今、景気はやっぱりだんだん悪くなってますね。そんな時に消費税を増税したら、消費が落ち込んでしまいます。消費を軸とする好循環をつくっていくためには、消費税の増税は凍結をします。一方、累次にわたる法人税減税で、今企業にはたくさんのお金が貯まってるんですね。そこで、法人税減税をやるにしてもですね、給料やボーナスを増やした企業に集中的に減税を適用して、働く人にもっとお金が回るように改善していきたいと思います。いわば、賃上げ減税で、皆さんの賃金やボーナスを増やしていきます。
伊藤:税制以外にはどんな政策がありますか。
玉木:はい、家計の可処分所得を増やすためには、家計の負担をとにかく抑えていかなければいけません。そんな中、家計において大きな負担となっているのが教育費と住宅費だと思います。こうした分野を重点的に支援をしていきたいと考えています。
伊藤:私にも二人の子供がおりますけども、なんやかんや言っても、子育てにはやっぱりお金がかかります。
玉木:そうですね。経済的な理由で子どもを持つこと、あるいは2人目、3人目を諦める人も数多くいます。こうした方々の不安に少しでも応えるため、現在中学生、中学卒業までとなっている児童手当の支給期間を、18歳、高校を卒業するまで延長し、そして支給額を一律1万5000円まで引き上げます。これによって、例えば3人のお子さんがいるご家庭には、総額でトータル約1000万円の支給を受けることができるようになります。
伊藤:財源はどうしましょうか。
玉木:実は現在でも道路とか橋などの公共事業にはですね、国債の発行が認められています。まあこれが昭和の考え方としたらですね、これから令和の時代、わが国の最大の財産であり、この将来の経済成長を実現する源は、人材です。その意味で、人材への投資こそ、今一番やらなくてはならない投資だと考えます。だからこそ、私たちは子育てや教育の分野にはこども国債を発行して、大胆な投資を実現していきたいと思っています。
伊藤:住居費についてはいかがでしょうか。
玉木:はい。収入の少ないご家庭であればあるほどですね、家賃が大きな負担になっています。そこで国民民主党は、こうしたご家庭に対して月額1万円の家賃補助を行います。
伊藤:たしかにですね、持ち家の方に対しては住宅ローン減税などの支援がたくさんありますけども、賃貸のお住まいの方には支援策がほとんどない。これはおかしな話です。
玉木:そうですね。高度経済成長時代と違って、特に若い世代を中心に、今、持ち家志向が弱まっていますね。また、ご高齢の方々も住み慣れた家だけれども、もう夫婦二人になった、あるいはもう一人になったということで、これまでの家が大きすぎるといって家を売ってですね、賃貸に移られる方も多いと聞きます。こうした国民のライフスタイルの変化に対応して、支援策を充実させていきます。
伊藤:年金についても伺いたいと思います。今国会の終盤で、年金だけでは満足な生活水準は維持できない、老後に向けて2000万円の貯金が必要という報告書の受け取りをですね、こともあろうに財務大臣が受け取りを拒否して、大きな問題になりました。代表は年金についてはどのようにお考えですか。
玉木:はい。人生100年時代を迎えて、今多くの皆さんが年金に不安を感じていると思います。安倍政権は、この年金のまあ健康診断のようなこの財政検証というものを5年に1回出るんですけれども、発表を遅らせています。いわば、年金の議論から逃げてるんですね。まず、私たちはこの不都合であっても、真実を隠すことなく示すべきだと考えます。その上で改善すべき点があれば、国会でこの年金の問題を正面から議論していきたいと思います。
今回の参議院選挙、争点の一つはこの年金の真実を隠す自民党か、それとも真実を明らかにして改善をはかろうとする私たち国民民主党か、これを選んでいただく選挙だと思います。国民民主党は、高齢者の皆さんが安心して暮らしていける、そんな年金制度を作り上げていきたいと思います。
伊藤:安心して暮らしていける年金制度、具体的には。
玉木:はい。今の年金制度いくつか問題点がありますが、最大の問題のひとつは、今、多くの方が低年金・無年金なんですね。こうした人たちの不安を少しでも和らげるために、まずは低年金者に対して年間最低でも6万円、支給額を上積みします。
伊藤:国民民主党は今回、地域にも重点を置いています。具体的な政策をお聞かせください。
玉木:実は私の卒業した小学校・中学校が両方とも廃校になっちゃったんですね。私、そういう地域に住んでます。また、イノシシとか猿、こういった鳥獣被害に悩まされている地域でもあります。そういう地域に住んでますので、私自身、この地域の課題って身にしみて感じているわけですが、特に高齢者が増えてですね、車の運転不安だな、でも車なしでは生活できないな、こういう問題、深刻な問題として今感じています。
伊藤:確かに今の、高齢者の悲しい交通事故が続いておりますけども、免許返納を考える方がたとえいらっしゃったとしても、買い物だって病院だって、車なしでは難しいというのが現状だと思います。
玉木:そうですね。国民民主党は、ですから今地域のタクシー会社やバス会社などとも協力して、地域の皆さんの移動手段をなんとか確保したいと考えています。実は、すでに多くの自治体でコミュニティバス、あるいは乗合タクシーの試みが始まっていますけれども、こうした取り組みに対する国の支援策を拡充していくことで、より安い値段で、より便利に使えるようにしていきたいと思っています。
伊藤:代表に農政についても伺いたいと思うんですけども、代表は農家の息子、私は農家の孫娘です。安倍政権の現場の感覚とずれた農政に対しては、言いたいこといっぱいありますよね。
玉木:はい。私は全国回ってますけどね、農家の皆さんからそういう不満や心配、いっぱい聞きますね。私自身、農政にずっと取り組んできましたので、各党党首のなかで一番農政に詳しい党首だという自負がありますけれども。まず、安倍政権は食料安全保障を軽視していると思います。私は大規模、あるいは企業型農業を否定するわけではありませんけれども、しかしそれだけでは日本の農業は成り立ちません。家族経営の小規模農家も含めて、多様な担い手が安心して農業を継続できる仕組みが必要です。そのためには、個別所得補償制度の復活、拡充が不可欠です。
伊藤:民主党政権で作ったこの制度は、現政権によって廃止をされました。
玉木:はい。この制度は実は多くの農家の皆さんに評価をいただきました。実は安倍政権のもとでもですね、交付単価を最初の田あたり、10アール当たり1万5000から7500円に、半額にしてでも継続してたんです。ただ昨年これがなくなってしまったので、今コメ農家の皆さんは大きな不安を感じています。販売価格と生産費の恒常的な差を埋めて安心して農業を続けられる、その所得を保証する政策が必要です。市場原理だけに任せていたのでは、農業・農村・文化を守ることはできません。
伊藤:企業中心、都市部中心の政策を家計第一、地域重視の政策に国民民主党は転換していく、そういうことですね。
玉木:はい。家計第一の経済政策を、全国の仲間と一緒に訴えていきます。ぜひとも、国民民主党の政策に耳を傾けていただければ幸いです。これからの日本を作り上げる、新しい答えをもった政党です。
伊藤・玉木:家計第一の国民民主党、よろしくお願いいたします。
続いて、国民民主党代表・玉木雄一郎さんのお話です。
玉木:改めまして、国民民主党代表の玉木雄一郎です。先ほどの対談の中で、国民民主党は家計第一、地域重視を訴えていくと申し上げましたが、もうひとつ、国民の皆さんに強く訴えていきたいことがあります。それは、未来への投資です。
平成の30年間、国の予算規模は1.7倍になりました。この間、年金、医療、介護などの社会保障の予算は3.3倍になり、またその多くを借金に頼ったため、国の借金返し、国債費は2倍になりました。一方、教育や科学技術に関する予算は約5兆円で、30年の間、ほぼ横ばいです。この間、アメリカや中国の科学技術予算は数倍、数十倍にもなっています。
私は過去30年、この未来への過小投資が、我が国の競争力低下の大きな原因だと考えています。私は未来への投資として、教育・子育ての支援や、科学技術振興費用、考えています。
これらは、広い意味で人への投資です。資源のないわが国にとって、人材こそが最大の資源であり、経済成長の源です。だからこそ、私たち国民民主党は人材に対して大胆に投資をおこなうべきだと考えています。
また、安倍総理は今回の選挙の争点は政権の安定だとおっしゃいましたが、私たちは政権の安定ではなく、国民生活の安定の実現こそ何より重要だと考えています。そして、未来を担う子どもたちが健やかに育ち、安心して生活できる社会をつくっていきます。私たちは、ただの否定や反対ではなく、現実に国民の皆さんが直面している問題に対して、皆さんの声を聞きながら新しい答えを作っていきます。そして、皆さんの生活を一歩でも前に進めていきます。今も国民民主党の候補者が、国民の皆さんの生活を少しでも良くしたい、そんな思いで全国で活動しています。皆さん、どうぞ国民民主党の候補者の声に耳を傾けてください。そして、今回の選挙では国民民主党の候補者、そして国民民主党に、あなたの一票を託してください。よろしくお願いします。
国民民主党の政見放送でした。