ポリタス

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  • ©会田誠 / Courtesy Mizuma Art Gallery

ポリタス特集「戦後70年――私からあなたへ、これからの日本へ」を開始します

  • 津田大介 (ポリタス編集長)
  • 2015年8月12日

日本は今年、終戦から70年目を迎えました。

昨年2014年の通常国会で波紋を呼んだ集団的自衛権の議論は、同年7月に「新3要件」という足かせが付いた状態で閣議決定され、今年の通常国会に持ち越されました。そして現在、審議されている安保関連法案をめぐって国会内外でさまざまな議論が沸き起こっています。

憲法とは何か。戦争とは何か。今後日本が進むべき道はどこにあるのか――。安保法制の議論が紛糾したことで、多くの日本人が日本の行く末を決める大きな問題について、改めて考えを深めているところではないでしょうか。

戦後70年という節目の年に、新聞やテレビ、雑誌などのマスメディアは多種多様な特集企画を制作しています。それだけ日本人にとって戦後70年というのは、非常に大きな意味を持っています。ネットメディアであるわれわれ「ポリタス」も、独自の切り口で戦後70年を考えるための特集記事を公開することにしました。

特集のコンセプトはただ一つ、「今年の8月15日に国民と世界に向けてスピーチをするとしたら、あなたはどんなスピーチをしますか?」というものです。もし自分が首相という立場だったらという仮定で書かれたものもあれば、過去の個人的な体験を元に書かれたもの、独自の歴史観や信念を露わにしたものまで、各人各様の個性的なスピーチを寄せていただきました。

安倍首相が8月14日に戦後70年談話を発表することが予定されています。これまで日本の首相が発信する戦後の談話は、東アジアの国々に対する政治・外交的な意味ばかりが注目されてきました。もちろんその論点も重要ではあるのですが、本当の意味で戦争を総括し、これからの日本とアジア、そして世界の未来を考えるためには、政治家や専門家だけではないさまざまな立場の人たちが、より大きく豊かな視座に立ったメッセージを発信し、そのボールを多くの人が受け止めることが肝要であると考えます。

そのために「ポリタス」編集長としてできることはなにか。そこで、いまこの戦後70年という節目の夏に、多様な文化・歴史的素養を持つそれぞれの論者による未来志向のスピーチを集め、それを一覧して読者に提示したいと思い立ちました。ここに寄せられた立場の異なる人々のオピニオンを読むことで、少しでも多くの人がこれまでの日本の歴史を振り返り、いまこれからの日本と世界との関係を考える新たなきっかけを作ることができればと考えています。

ポリタスは、思想信条を超えたたくさんの意見を集め、それを多くの人に届けることを目標とし、無料かつ紙幅のないネットだからこそできることについて積極的に取り組んできました。本特集はまた、いずれ作られるであろう「戦後100年談話」の土台作りとも言うべき重要な仕事になるのではないか――少し大きな物言いになりますが、そうした信念にも似た思いを抱きつつ、同時にそれこそがポリタスが果たすべき役割だと確信しています。

安保法制の行く末がどうなるにせよ、この2015年が後から振り返ったときに戦後日本の転換点になることは疑いがありません。この大きな変化のうねりの中で知識人、表現者、そして市民が何を思っていたのか、できるだけ多くを記録して残しておくことには大きな意味があるはずです。これほどまでに文化や表現の力が問われている時代もないのですから。

わたしたち一人ひとりが「この国のかたち」を考えることが、未来へとつながる第一歩になります。ぜひ、本特集の記事を読む際には、目をつぶって印象的なフレーズを「スピーチ」のように、頭の中で想像して読んでみてくださいね。

著者プロフィール

津田大介
つだ・だいすけ

ポリタス編集長

ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ポリタス編集長。1973年生まれ。東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。早稲田大学文学学術院教授。大阪経済大学情報社会学部客員教授。テレ朝チャンネル2「津田大介 日本にプラス+」キャスター。J-WAVE「JAM THE WORLD」ニュース・スーパーバイザー。一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)代表理事。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。 世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2013」選出。主な著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)、『動員の革命』(中公新書ラクレ)、『情報の呼吸法』(朝日出版社)、『Twitter社会論』(洋泉社新書)、『未来型サバイバル音楽論』(中公新書ラクレ)、『「ポスト真実」の時代』(祥伝社)ほか。2011年9月より週刊有料メールマガジン「メディアの現場」を配信中。

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