防災グッズと聞いて、読者の方々は何を思い浮かべるだろうか。
災害大国と呼ばれる日本では、毎年のようにどこかで災害が発生している。4年前の2011年3月11日に発生した東日本大震災をきっかけに、災害に対する備えを強く意識するようになった人も多いはずだ。
震災をきっかけに、防災グッズを準備しておくことの必要性は広く一般に認識されるようになった。しかし、実際のところどのような状況を想定して、何をどれだけそろえればいいかわからず防災グッズをそろえるのに二の足を踏んでいる人もいるのではないだろうか。
これまでの避難の常識が通用しない?
以前より防災グッズの"常識"として言われていたのが「2~3日分の備えをした非常用持ち出し袋を準備しましょう」というものだ。しかし、国の中央防災会議が2013年5月に発表した南海トラフ巨大地震対策に関する最終報告書では、地震などによる被害が超広域にわたるとしたうえで、
被災地域では、発災直後は特に行政からの支援の手が行き届かないことから、まず地域で自活するという備えが必要であり、食料や飲料水、乾電池、携帯電話の電池充電器、カセットコンロ、簡易トイレ等の家庭備蓄を1週間分以上確保するなどの細かい具体的な対応を推進する必要がある
とまとめている。2~3日では足りないのだ。また避難行動に関しても、
また、避難者が大量に発生し、通常想定している避難所だけでは、大きく不足することが想定されることから、避難所に入る避難者のトリアージの方策、住宅の被災が軽微な被災者は在宅で留まるように誘導する方策等を検討する必要がある
とし、これまで災害時の行動として定説とされていた「非常用持ち出し袋を持って避難する」ことができない可能性を指摘している。つまり、インフラストラクチャーやライフラインがほとんど停止する状況下で自宅での避難生活を余儀なくされる場合、少なくとも1週間を自宅などで過ごせるだけの物資を備蓄しておく必要があるということだ。
本稿では、その「1週間のサバイバル」――災害時、自宅避難で1週間を乗り切るために、どのような防災グッズを備える必要があるのか、そして現在購入することができる最新の防災グッズで有用なものはどんなものなのか、NPO法人プラス・アーツ東京事務所長の小倉丈佳(おぐら・たけよし)氏に話を伺った。
撮影:佐藤類
専門家が語る防災グッズの「量」
2005年から防災教育分野で活動を展開しているNPO法人プラス・アーツが、防災に対する姿勢として掲げているのが「イツモ防災」だ。
「地震を『モシモ』のものではなく、『イツモ』起こり得るものとしてとらえていこうという考え方です。災害が起きてから備えをしてもどうにもなりません。平時からの準備と心構えが必要であり、防災を日常に取り込んでいくことが重要だと考えています」
たとえば、新聞紙を紙食器や非常用トイレとして応用するなど、普段の生活で使っている身近なものを災害時に工夫すれば便利な防災グッズとなる。高いお金を出して防災グッズを買いそろえなければならないとなれば躊躇する人も多いだろうが、こうした知識や技を知っていれば、備えのハードルはぐっと低くなる。
「そのうえで、本当に災害時に役に立つものを選んで購入しておけば、災害時の厳しい状況でも一週間を乗り切ることができると思っています。その際に留意してほしいことは『量』です。災害時にどのようなことが起きるのか、家族がその中でどう乗り切るかを具体的に想像し、『量』をイメージしておく必要があります」
以下具体的に、
(1)トイレ・水の問題
(2)日常食+非常食で1週間を乗り切る
(3)災害時の生活の質を上げる衛生用品
(4)そろえておきたい便利な防災グッズ
(5)日用品が災害への備えになる!
という5つの観点から、現時点で実際に購入することができる物品を取り上げつつ詳しくその有用性を紹介する。
(1)避けて通れない「入」と「出」の問題――トイレ・水
◆ 簡易トイレ――水洗トイレは諦めよう
災害により上下水道のいずれかが被害を受けると、復旧するまでの間トイレが使えなくなる。
使用できるかどうかわからないトイレを使い、汚水や汚物を溢れさせてしまった場合、衛生環境の悪化を招き、いざ復旧作業を進める際もその清掃から始めなければいけなくなる。
こうした観点から、災害時は「水洗トイレは使えないもの」と仮定して、簡易トイレを準備しておくことが重要だ。
おすすめは洋式便座にかぶせて使うタイプの簡易トイレだ。袋の中に吸水凝固シートが貼り付けられ、用を足した時の水分を吸収凝固してくれる。
成人の1日の排泄回数の目安は大便1回、小便4回(1回約200ml)程度なので、理想は1人につき1日5枚――1週間分で35枚の簡易トイレを備蓄しておくといい。ただ、家族1人につき35枚の簡易トイレを用意するとなると、相当な数になってしまう。メーカーが推奨する使い方ではないが、吸水凝固シート1枚あたりの吸水量は多少余裕があるので、小なら1枚で3回程度は使える。このように節約した使い方をすれば、1週間分は1人約16枚、4人家族であれば65枚備えておけば何とか1週間を乗り切れる。
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簡易トイレの用意があったとしても、復旧が遅れて足りなくなることもある。その場合に備えて、自治体や集合住宅で用意しているマンホールトイレなどの非常用トイレが近くにあるかどうかを、平時に確認しておくといいだろう。それも利用できないという場合は、最終手段としてトイレを自作することもできる。ゴミ袋を便座にかぶせて、中にくしゃくしゃにした新聞紙を敷くと、用を足すことができる。
イラスト:(c)文平銀座+NPO法人プラス・アーツ
◆ トイレットペーパー
また、災害時にトイレットペーパーがなくなると非常に困る。トイレットペーパーは常に余裕を持ってストックしておきたい。
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トイレに関しては、用を足すことだけではなく、その後の保管、処理も併せて考えておきたい。使用済みのトイレ袋は燃やせるゴミの回収が再開するまで保管しておかなければならないが、その保管の方法も考えておく必要がある。震災時、集合住宅に住んでいた人が、使用済みのトイレ袋をベランダで保管していたために、臭いが原因で近隣住民とのトラブルに発展したケースもあるという。そうならないためにも、トイレ袋は使用後にスプレー式の消臭剤をかけ、しっかりと口を縛り、さらに袋に包んで密閉したゴミ箱の中に据え置き型の消臭剤とともに保管する、といった臭い対策も必要になる。
手に入らない水問題
◆ 飲料水――必要量は足りていますか?
災害時に飲料水を確保するのは非常に難しい。だからこそ、飲料水はあらかじめ備蓄しておかなければならないわけだが、一体どのくらいの量の飲料水を備蓄しておくべきかということは、意外に知られていない。
人が1日に必要とする水分は2.3~2.6リットルと言われている。1日に最低でも2リットルを補給するとして、1週間分の備えでは1人につき2リットルペットボトルの飲料水を7本以上(6本入りのケースで1ケースだけでは足りない)。4人家族であれば2リットルペットボトル28本以上は必要になる計算だ。1人1ケースの備蓄があったとしても1週間分の備蓄としては足りない、ということは覚えておきたい。
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◆ 給水バッグ――水道復旧に時間がかかると必須!
水道の復旧が遅れ、1週間経っても飲料水が確保できないこともありうる。その場合は自治体などの給水活動に頼ることになるが、水を入れる容器がなければ持ち帰ることができない。水を持ち運ぶための給水バッグがあると水の確保に役立つ。
ただ、給水バッグがなくても、日用品で代用することも可能だ。バケツやゴミ箱、段ボール箱の中にゴミ袋をかぶせて容器を作れば、簡易の給水バッグになる。持ち運ぶ際にはこぼれないように口を縛る。停電などでエレベーターが使えない時は、登山用など大容量のリュックサックに入れ替えると階段の昇り降りの負担を軽減できる。
生活用水の確保はさらに難しい。トイレ、食器洗い、お風呂、洗濯、掃除などに必要な生活用水は基本的には使えないと想定し、水を用いない手段を用意しておきたい。もちろん、くみ置きの水があるに越したことはないのだが、日頃使っているような大量の水をくみ置きで確保するのは非常に難しい。ポリタンクやペットボトルにくみ置きする場合は、空気を入れないように水を目いっぱい入れておくと腐りにくくなる。浴槽にためておく場合は、水が多すぎると地震の揺れで浴室が破壊されることもあるので、深さ20cm程度にとどめておく方がよいだろう。
(2)食べて備える――日常食+非常食で1週間を乗り切る
非常食というと、カンパンやビスケット、缶詰などの長期保存が可能な保存食というイメージが一般的かもしれない。しかし、保存食を1週間分用意するのは難しく、災害時に似たような保存食を毎日食べるとなるとすぐに飽きてしまうという問題がある。また、備蓄してある場所を忘れて必要な時に見つからない、あるいは消費期限が切れていた、ということもありうる。
長期保存が可能な「これぞ非常食」というものをたくさん買いそろえるよりも、日常的に食べているものを「気持ち多め」に買い置きすることが非常食を切らさないコツだ。冷蔵庫が空になる直前に買い物に行くのではなく、冷蔵庫内に余裕がある段階で買い物に行く。日常的に買い置きをしていれば、いつもの食料が災害時の数日分の食料になる。
◆ クーラーボックスと保冷剤
被災後1~2日間は冷蔵庫内の傷みの早いもの、たとえば肉や魚、野菜、冷凍食品から食べていく。クーラーボックスに保冷剤を入れると2~3日程度は食品の冷蔵が可能な簡易冷蔵庫になる(冷気は上から下に流れる性質があるため、保冷効果を高めるために保冷剤や冷凍食品など冷たいものを上の方に置くとよい)ので、時間差をつけて食べていくことができる。傷みの早いものを食べ終えたら、食パンや菓子パン、果物、おやつなど常温で保存してあるものを食べていく。これで被災後の3~4日間を乗り切る。
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◆ 非常食――オススメは「ローリングストック法」!
1週間を乗り切るためには、あと3~4日分の食料が必要になるので、そのための非常食を用意する。非常食を備蓄するための方法としては、非常食を定期的に食べ、食べた分だけ買い足していくローリングストック法がおすすめだ。
まず、1人につき12食分(4日分)の非常食を用意する。その非常食を月に1~2度食べて、食べた分を買い足す。これを毎月続ければ、1年経った時には非常食が全て入れ替わる。
イラスト:(c)文平銀座+NPO法人プラス・アーツ
ローリングストック法で備蓄することで、賞味期限が1年程度の食品であれば、非常食として備蓄できるようになる。日常的に食べているものでも、レトルト食品、乾麺、缶詰、フリーズドライ食品などは賞味期限が1年程度あるものも多く、非常食の幅が広がる。非常食を日常的に食べることで、賞味期限切れを防ぎつつ、おいしかったものはリピートし、口に合わなかったものは変えるというように、自分や家族の好みにあったラインナップに変えていくことができる。
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◆ カセットコンロとガスボンベ
食料と併せて備えておきたいのが、カセットコンロとガスボンベだ。これがあると、湯沸かし、レトルト食品の温め、乾麺やフリーズドライ食品の戻し、炊飯などができ、災害時にも温かい食事が食べられる。
ガスは復旧に時間がかかると想定されるため、できれば1カ月分はガスボンベをストックしておきたい。一般的なカセットコンロ用ガスボンベは1本で約60分使用できるので、1日に30分使うとして、15~20本(3本入りパックで5~7パック)が1カ月分の備えとなる。
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精神的な負担も大きくなる被災生活だからこそ、せめて食事はおいしく温かいものが食べられるように備えてくことが大切なのだ。
◆ 食品用ラップフィルム
水が使えなくなると、食器を洗うことはできない。食事に使用する食器には食品用ラップフィルムをかぶせ、使用後にラップを捨てるというようにすると、食器を洗わなくても清潔な食事をとれる。安いラップは熱で溶けることがあるので、温かいものに使うのであればメーカー品がいいだろう。
◆ 粉ミルク、離乳食、介護食
乳幼児や介護が必要な高齢者など、健康な成人と同じものを食べられない人が家族にいる場合は、その家族が必要とする食事を多めに買い置きし、災害時に困らないようにしておきたい。
(3)災害時の生活の質を上げる衛生用品
電気、ガス、水道が止まってしまうと、いつものような衛生的な環境を保つのは難しい。また、物流が止まってしまうと、日常的に使っている衛生用品もすぐには手に入らなくなる。
◆ 口腔ケア用ウェットティッシュ
災害時の備えとして見落とされがちなのが口腔ケアだ。飲料水にすら困る災害時、水を使うのがもったいないと歯磨きがおろそかになってしまうかもしれないが、口腔内が不潔になると、細菌が増殖して肺炎などの感染症を引き起こす原因にもなる。口をすすぐ水がなくても歯を磨ける口腔ケア用ウェットティッシュがあると、災害時も口腔環境を清潔に保つことができる。
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◆ おしり拭き・からだ拭き
電気、ガス、水道が復旧するまではお風呂には入れない。ライフラインが復旧するまでの間、体を清潔に保つためには、体や顔を拭くためのウェットタオルがあると便利だ。ウェットティッシュは体を拭くという用途では小さくて使いづらいので、赤ちゃん用のおしり拭きや、介護用の大判のからだ拭きがあるとよいだろう。おしり拭きやからだ拭きを日常的に使う環境であれば、災害に備えて多めにストックしておきたい。普段使いしていない場合でも、未開封であれば5年ほど保管できる災害用の大判サイズのからだ拭きもあるので、そちらを備蓄しておこう。
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◆ 日常的に使っている衛生用品
生理用品やパンティライナー、乳幼児用、介護用のおむつなど、日常的に使っている衛生用品の中でも、なくなると非常に困るものは、なくなりそうになってから買い足すのではなく、できれば多めに買い足していくという習慣が必要だ。自分や家族にとって、なくなると困るものをあらかじめ確認しておき、災害に備えて備蓄しておきたい。
(4)そろえておきたい便利な防災グッズ
◆ LEDランタン――手がふさがらない最善の照明
災害時の照明として懐中電灯を用意している人も多いかもしれない。だが、実際に災害時の照明として懐中電灯を使ってみると意外と不便なことに気づかされる。懐中電灯は前方を照らす用途では役立つが、部屋全体を照らす照明としては使いにくいのだ。また、作業中の照明が欲しい時にも、懐中電灯を持つと片手がふさがってしまい、作業の妨げになる。
災害時に部屋全体を照らす照明として使うのであれば、明るさやバッテリーの持ちなどからLEDランタンに敵うものはない。照明は必要な数をそろえることも重要で、1つしか用意していないと、誰かがトイレなどほかの場所に持って行きたいという時に取り合いになってしまう。照明はリビング用、キッチン用、トイレ用に最低でも3つは用意しておきたい。また、ヘッドライトを家族の人数分そろえておくと、作業や移動の際の明かりとして役立つ。
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◆ ポータブルラジオ
電気が止まってしまうと、テレビなどが使えなくなってしまい、災害の規模や状況を把握するための情報が手に入りにくくなる。そこで役立つのがポータブルラジオだ。
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市販されている防災グッズの中には、ラジオや懐中電灯、充電器などの機能が一体になった多機能型のものもあるが、複数の機能を同時に使うことは実際には難しい。ラジオを聴きたいのに懐中電灯が必要で外に持って行かれるということもあるからだ。スペースが少なく済むという理由から一体型が選ばれがちであるが、それぞれの機能を備えたグッズを個別にそろえる方がいい。
◆ 電池
最近はニッケル水素式の充電池や、サイズ変換用のスペーサーも十分にあるので災害が起こっても大丈夫、と思っている人もいるかもしれない。しかし、電池やスペーサーを日常の用途に使っているうちに、家のあちこちに分散してしまい、いざ使いたい時に必要な数が足りない、探しても見つからないということにもなりかねない。防災用に備蓄する電池は、日常的に使うものとは別に、機器に対応したサイズのものを必要な数だけ確保しておきたい。
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(5)日用品が災害への備えになる!
防災グッズをただ買いそろえるだけでは、災害時に十分対応できるとは言いがたい。防災に対する備えの質を高めるためには、ライフラインが止まり、物品の入手ができなくなった時に何に困るのか、そんな状況下でいかに生き抜くかを具体的にシミュレーションし、災害時に役立つ日用品を事前にそろえておくことも大切だ。
◆ ガムテープ――災害時に役立つガムテープを知る
ゴミ袋を使って簡易トイレや給水バッグを自作するというように、日用品は工夫次第で、災害時のさまざまな用途に使える。新聞紙は雑巾や断熱材の代わりに使えるし、キッチン用ポリ袋やラップはお皿にかぶせると洗う手間を省ける。自分が日頃使っている日用品が、災害時にどのような用途で使えるのかを考え、必要なグッズは多めにストックしておきたい。
また、日用品を選ぶ際は、災害時に使用する用途に合っているかという点も考慮に入れるとよいだろう。たとえば、ガムテープは災害時に家族間で連絡を取り合う際のメモとしても使われた。こういった使い方をするのであれば、ガムテープは剥がしやすい布製で、文字が読みやすく目立つ白色のものが適している。いつも持ち歩いているハンカチも、包帯や風呂敷、簡易的なマスクとして使うのであれば、大判のハンカチがよい。
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日用品を災害時に使いまわすための発想力と応用力を日頃から養うことが大切だ。
なくなって困るものは多めに買い置きする
災害時に足りなくなると困るものをあらかじめ把握し、日常的に買い置きする。本稿では、トイレットペーパー、生理用品やパンティライナー、乳児用、介護用のおむつ、粉ミルク、離乳食、介護食などを挙げたが、自分や家族にとって必要なグッズをきちんと把握し、できれば多めにストックしておきたい。買い置きを習慣化するためにも、まずはストックしておくためのスペースを確保しておくことが重要だ。また、スマートフォンのメモ機能などを使って買い置きが必要なグッズのリストを作り、時々確認できるようにしておくとよいだろう。
まとめ
災害用の簡易トイレや飲料水、非常食、LEDランタン、ヘッドライト、ポータブルラジオなど日用品で代用しにくい防災グッズは、あらかじめきちんとそろえておく。
以上の点を踏まえて、日常生活の中に防災の備えを組み込んでいくことが必要だ。いつもの生活をほんの少し変えるだけで、災害が発生した際の対応力は大きく向上し、「困りごと」を解消、あるいは小さくすることができる。
東日本大震災から4年が経ち、災害への危機意識が薄れてきている人も少なくないかもしれない。今一度、普段の生活を防災の観点から見直してみてはいかがだろうか。
NPO法人プラス・アーツ
阪神・淡路大震災をきっかけに、「防災の日常化」をテーマに掲げて活動しているNPO法人。被災者から学んだ震災の教訓を元に、楽しみながら学べる防災イベント「イザ!カエルキャラバン!」や実践的防災セミナー「地震ITSUMO講座」の企画、防災グッズや防災備蓄品の監修など、市民目線の防災に取り組む。全国の地域・自治体と協働する他、東京ガスや無印良品など企業の防災アドバイザーも務める。
小倉丈佳
NPO法人プラス・アーツ東京事務所長。2007年プラス・アーツ入社。全国の地域・自治体・企業と協働しイベントや講座などの啓発事業を展開する他、東日本大震災の被災者の声を元にした教材の開発、啓発ツール(展示・マニュアル)の監修など、「防災の日常化」をテーマとした幅広い事業を手掛けている。
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