ポリタス特集『「統一地方選2015」私たちの選択』を開始します。
2014年2月の東京都知事選、11月の沖縄県知事選、そして年末の総選挙と、注目の選挙を特集してきたポリタスですが、今回は統一地方選の特集となります。
しかし、一口に統一地方選といってもどうやって特集としてまとめればいいのか編集長としていろいろ悩みました。というのも、統一地方選は、大きな地方自治体の首長選挙から、小さな市区町村の議員選挙まであまりにも選挙の数が多いからです。自治体によって抱えている政治課題や政策的な争点は異なりますし、かといって注目すべき特定の選挙を殊更に取り上げるとその選挙が行われる地域の住民以外には意味が薄いものになってしまいます。
そこで考えた今回の特集のコンセプトは「国政選挙と比べて地縁や知名度、地域密着型の活動に左右されがちで、大多数の浮動票層にとって選ぶ“ものさし”がない村議会/町議会/区議会/市議会/県議会/知事選挙において、有権者に投票の指針――“ものさし”を提供する」というものです。
正直なところ僕も毎回統一地方選については苦心してきました。一体誰に入れればいいんだよ、と。国政選挙や都議会議員選挙であればそのときの政治状況や候補者個人を判断して投票できるのですが、そもそも立候補者が多く、政党で選びにくい区議選のような選挙では毎回誰に入れればいいかわからない。恐らく他人より政治に興味がある僕ですらそうなのですから、地方選について悩んでいる有権者は多いのではないかと。今回の論者の方々にはその問題を解決するための原稿をお願いしました。
マスメディアでは地方創生や大阪都構想といった国政とも関わる「ホットなキーワード」が注目されがちですが、地方の多くの自治体はみな少子高齢化、過疎化、財政健全化といった共通の課題を抱えています。また、東京都渋谷区で始まった同性カップル証明書条例や子育て支援など、何かに特化した政策を進めることで移住者・税収を増やす取り組みも目立つようになってきました。
「コミュニティデザイン」というキーワードが注目され、『里山資本主義』がベストセラーになり、ユニークな町おこしで再生した限界集落に視察が殺到する――「地方の時代」というスローガンが最初に掲げられた1970年代から40年が経ち、地方を巡る環境は大きく変わってきました。そんななか、沖縄は選挙結果という「民意」によって中央政府の政策に大きな「No!」を突きつけました。しかしこれが新たな火種となって、現政権と沖縄の関係はかつてないほど緊張したものになっています。あらためてわれわれは地方自治を、この統一地方選を通じて考え直す機会にしなければいけません。
本特集が読者の方々の良き“ものさし”になれば、これ以上の幸いはありません。