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  • 論点

「選んではいけないNG候補」の見分け方 5箇条

  • 相川俊英 (地方自治ジャーナリスト)
  • 2015年4月10日

地方議会・議員の役割とは何か

今回の統一地方選は史上最低の低投票率を記録しかねない状況だ。なかでも惨憺たる結果となりそうなのが、地方議員選挙である。5割を大きく割り込むのではと見られている。有権者の多くが投票に行く意欲と関心を失ってしまっているのである。

地方選挙の低投票率の背景にあるのが、有権者が抱える「誰を選んだらよいのか判断がつかない」という切実な悩みである。とりわけ深刻なのが、都市部の有権者だ。当選者1人の首長選とは違い、大人数が当選する議員選は候補者も多数にのぼる。その一方で候補者個々の情報は少なく、しかも、訴えることにそう違いはない。皆、口をそろえて「地域住民のために働く」と殊勝なことを言い、短い選挙期間は誰もがきまって自分の名前の連呼に終始する。

これではどの候補に1票を投じたらよいか判断がつかないのも無理からぬことだ。わけがわからぬまま「もう投票に行くのはやめた!」となってしまいがちである。選ぶに選べぬ状況に立たされている有権者が多い。そもそも議員の選び方がわからないといった有権者も少なくない。

棄権は現状をより悪化させることにしかならない

しかし、だからといって棄権してしまってはいけない。なぜなら、棄権は現状をより悪化させることにしかならないからだ。低投票率が議員の質の悪化を生み、議会の形骸化と地域の衰退を加速させているとみるべきだ。

投票行動が相対的、消極的な選択によるものであってもいっこうに構わないはずだ。お眼鏡に叶う候補者がいなかったら、少しでも質が良いと思う候補を探し出し、議会に送り込むことがなにより大切だ。よりましな候補を選ぶのである。その際の判断基準、目安、選ぶコツといったものを具体的に示したい。

本論に入る前にちょっと頭に入れておいて頂きたいことがある。地方議会・議員の役割についてである。

地方自治は首長と議会の二元代表制となっており、議決機関である議会は首長(執行部)をチェックする役割と政策提案する役割を持つ。ここで留意すべき点は、首長(執行部)に対峙するのは議員ではなく、個々の議員で構成する議会だということだ。議員1人で執行部のチェックはできるが、議員1人では議決と政策提案はできない。つまり、議会は多様な意見を前提に議論を重ねて合意形成していくことを本旨としている。

このため、議員に求められる最も重要な資質は、自分の意見・主張を持ち、そのうえで多様な意見に耳を傾けて冷静に議論ができる器ということになる。自己主張ばかりの目立ちたがり屋や攻撃的な人、大言壮語するタイプや理想だけを語る独善的な人などは、議員に不適格である。人の話をじっくり聞き、付和雷同もゴリ押しもせずに合意形成までこぎ着けていく力量をもった人が望ましい。

 

「選んではいけないNG候補」はこうして見分けろ

もちろん、そうした力のある議員候補などそういるはずもないので、逆に「選んではいけないNG候補」の見分け方を紹介したい。そのほうが現実的で、判断しやすいと思うからだ。選挙公報や選挙ポスター、選挙演説、日常活動、ホームページやフェイスブックなどから判断する際のポイントである。NGポイントは5つある。

国会議員や首長の手下のような人物に地方議員の本来の役割が果たせるはずがない

1つは、ホームページやフェイスブック、ポスターなどで知事や市区町村長、国会議員、地元外の著名人との関係の深さをしきりにアピールする候補者だ。本人は自分の力を誇示しているつもりかもしれないが、この種のタイプはNGだ。国会議員や首長の手下のような人物に地方議員の本来の役割が果たせるはずがないからだ。

2つめは、自分の手柄話ばかりする人や逆に自分の意見を言わない候補者だ。そもそも自己愛の強い人は政治家には不向きと考える。「私が、私が」という自己顕示欲の強い人は、住民よりも自分のことを優先してしまうからだ。また、自分の考えがしっかりしていない人は論議の場に加わってはならないと考える。単なる員数要員で終わってしまうのが明らかであるからだ。

3つめは、自分の地元や支持団体、支持者にばかり目を向けている候補者だ。地域全体のことを顧みず、特定の地域や団体、個人の個別具体的な要求に敏感に対応し、駆けずり回っているような人は避けるべきだ。

 

運動会や新年会、入学式や葬儀といったセレモ二―やイベントにこまめに出席し、そうした写真をホームページやフェイスブックにアップする人もNGだ。そうした活動は議員活動ではなく、顔と名前を売り込む票固め活動ととらえるべきだ。つまり、自分が議員であり続けるために汗を流しているといえる。

現職議員のホームページやフェイスブックをチェックすることで議員の資質が見えてくる。議員活動の中身をきちんと報告している人はOKだ。質問内容や議案への賛否とその理由説明、さらには政務活動費の使途などを明らかにしている議員は、信頼してよいだろう。

選んではいけない4つめのポイントは、選挙公約である。具体性に乏しく、スローガンやポエムのような公約を掲げている人はNG。逆にあれもこれもとテンコ盛りしている人や政党やどこかのマニフェストのコピー&ぺーストのようなものを載せている人も避けた方が良い。公約や選挙公報を読んでその候補者の思いが伝わってこなかったら、パスすべきだ。

何のために議員になろうとしているかが明確でない人は、選んではいけない。税金の無駄使いにしかならないからだ。

5つめは、自分のビジュアルやイメージを常に意識し、それをアピールするような候補者だ。「人は見た目が大事」というが、見た目だけで議員を選ぶとトンデモないことになる。これまで散々痛い目にあってきたはずだ。

これら5つが「選んではいけないNG候補」の見分け方のポイントだ。投票先を決める判断材料にしていただきたい。候補者を見比べてみることが、大事なのだ。

その意味で立会演説会が廃止されたのは痛い。候補者が一堂に会して持論を開陳する場ほど、それぞれの力量が有権者にはっきりとわかる機会はないのである。投票率を上げるためにも立会演説会を復活させるべきだと考える。

消去法で決めても全く問題はない

ところで、「選んではいけないNG候補」チェックを実際にやってみたら、全候補者が5つのいずれかに該当してしまったというケースも出るかもしれない。その場合はNG度合の低い「よりダメでない人」に、清き一票を投じることをお勧めしたい。そもそも選挙は相対評価で票を入れるものなので、消去法で決めても全く問題はない。いや、消去法で決めるしかないというべきか。とにかく、選挙で最悪の結果を生むのは、棄権という行為である。

著者プロフィール

相川俊英
あいかわ・としひで

地方自治ジャーナリスト

1956年群馬県生まれ。早稲田大学法学部卒。放送記者を経て、フリージャーナリストとなる。地方自治をテーマに全国各地を取材して回り、「日本一首長に直接取材している記者」といわれる。2014年12月に「トンデモ地方議員の問題」(ディスカヴァー携書)を出版し、2015年3月には「反骨の市町村 国に頼るからバカを見る」(講談社)を出版した。

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