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帰還――避難指示解除目前の福島4町村のいま

  • 津田大介 (ポリタス編集長)
  • 2017年3月11日

リコーの360度撮影できるカメラ「THETA S」を使ったインタラクティブ動画レポートです。360 度動画を視聴するには、パソコン用の Chrome、Opera、Firefox、Internet Explorer の最新バージョンが必要です。モバイル端末の場合は、最新バージョンの YouTube アプリを使用します。再生中に画面をドラッグすることで、自分の好きな角度で動画を見られます。

福島第一原発による避難区域は年間の放射線量によって3種類に区分けされていました。

・帰還困難区域 年間50ミリシーベルト以上
・居住制限区域 年間20~50ミリシーベルト
・避難指示解除準備区域 年間20ミリシーベルト未満

各自治体によって、それぞれの区域の割合や人口も違います。データを参照しながら動画をご覧ください。

富岡駅前

※動画の画面をドラッグすることで視点を変更することができます。

※スマホの場合は https://www.youtube.com/watch?v=drfwokLGNGA からYouTubeアプリを使ってご覧ください。

富岡町の帰還に関する各種データは下記の通りです。

○避難区域の人口

・帰還困難区域 30%
・居住制限区域 61%
・避難指示解除準備区域 9%

○避難区域の面積

・帰還困難区域 12%
・居住制限区域 51%
・避難指示解除準備区域 36%

○2016年度帰還に関する住民意向調査(カッコ内数字は2015年度調査結果)

・戻りたい 16%(13.9%)
・まだ判断がつかない 25.4%(29.4%)
・戻らないと決めている 57.6%(50.8%)

さくらモールとみおか

※動画の画面をマウスドラッグすることで視点を変更することができます。

※スマホの場合は https://www.youtube.com/watch?v=eAHtjyj7TYwからYouTubeアプリを使ってご覧ください。

この場所は原発事故前は「ヨークベニマル富岡店」が入っている民間の建物でした。事故後、帰還事業の一つとして富岡町が建物を購入し、整備を進めています。

2016年11月23日に福島市に本社があるホームセンターのダイユーエイトが復興を後押しする目的で先行出店。2日後の11月25日には地元事業者3社の飲食店が営業を開始しました。下記3店がフードコート内に入っています。

・総菜類などを販売する「おふくろフード」、
・親子丼とラーメンを手掛ける「浜鶏(はまど~り)」
・定食、うどん、そばを取りそろえる「いろは家」

3月30日にヨークベニマルとツルハドラッグが開業し、全店舗で営業が始まります。

インフラ整備という意味では、この施設のすぐ隣に2016年10月、町立とみおか診療所が開業しています。

夜ノ森の桜並木

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※スマホの場合は https://www.youtube.com/watch?v=L_nonultPyw からYouTubeアプリを使ってご覧ください。

ここは元々420本の桜からなる並木道。「桜のトンネル」として有名だった富岡町の象徴的な存在です。

この地域の士族の末裔で明治時代に実業家になった半谷清寿が1901年に理想の村づくりを求めてこの地区に入植、開拓記念に300本の桜を植樹したのがはじまりです。

420本の桜からなる並木道は全体で約2.2kmあります。その内1.9kmは帰還困難区域内にあり、地域の分断の象徴にもなっています。

今年は4月1日から帰還が始まるということで、花見を盛り上げる企画が色々動いているそうです。興味ある方はぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

夜ノ森駅

※動画の画面をマウスドラッグすることで視点を変更することができます。

※スマホの場合は https://www.youtube.com/watch?v=u6QXlhkVwt0 からYouTubeアプリを使ってご覧ください。

富岡町にあるJR常磐線夜ノ森駅は現在帰還困難区域内にあり、除染を進めています。夜ノ森駅には6000株のツツジが植えられており、桜並木と並ぶ町のシンボルとして知られていました。

しかし、樹皮が吸い込んだ放射性物質の濃度が高く、除染を進めるには伐採が必須ということで、2016年11月に伐採が決定されました。

ただし、今回の伐採ではすべてを伐採するのではなく、根の部分は残しているのがポイントです。地表から10センチほど出る幹を残して除染・養生することで将来的に開花する可能性があるとのことです。伐採とともに新しい苗木も植えることも計画しているそうです。

富岡復興メガソーラー・SAKURA

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※スマホの場合は https://www.youtube.com/watch?v=xFYOtCMGDCM からYouTubeアプリを使ってご覧ください。

このメガソーラーは、元々この地区に住んでいた地権者の一家族、遠藤さんご一家が立ち上げたものです。原発事故で所有していた田んぼで農作業ができなくなったため、太陽光発電に目を付け、復興の後押しとして日本全国に散らばっていた40世帯近い地権者の居所を探し出して説得。プロジェクトは次第に大きくなり、この計画が富岡町の復興計画に組み入れられることになりました。

同発電所は、地域住民が主体になった自然エネルギー事業としては国内最大規模となる30メガワット超の発電量。2018年3月11日に竣工する予定です。

売電収益は、富岡復興ソーラーを通じて、高齢者の送迎サービスなどの福祉支援や、暫時的な農業支援などの復興事業に使われる計画になっています。

大熊町大川原地区

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※スマホの場合は https://www.youtube.com/watch?v=w5f-8uWj0v0 からYouTubeアプリを使ってご覧ください。

大熊町の帰還に関する各種データは下記の通りです。

○避難区域の人口

・帰還困難区域 96.5%
・居住制限区域 3.3%
・避難指示解除準備区域 0.2%

○避難区域の面積

・帰還困難区域 62%
・居住制限区域 15%
・避難指示解除準備区域 23%

○2015年度帰還に関する住民意向調査(カッコ内数字は2014年度調査結果)

・戻りたい 13.9%(11.9%)
・まだ判断がつかない 29.4%(30.7%)
・戻らないと決めている 50.8%(49.4%)

浪江駅

※動画の画面をマウスドラッグすることで視点を変更することができます。

※スマホの場合は https://www.youtube.com/watch?v=pEcSLzrrYGE からYouTubeアプリを使ってご覧ください。

浪江町の帰還に関する各種データは下記の通りです。

○避難区域の人口

・帰還困難区域 17%
・居住制限区域 42%
・避難指示解除準備区域 41%

○避難区域の面積

・帰還困難区域 80%
・居住制限区域 10%
・避難指示解除準備区域 10%

○2016年度帰還に関する住民意向調査(カッコ内数字は2015年度調査結果)

・戻りたい 13.4%(13.3%)
・まだ判断がつかない 22.9%(20.7%)
・戻らないと決めている 62.3%(55%)

浪江商店街

※動画の画面をマウスドラッグすることで視点を変更することができます。

※スマホの場合は https://www.youtube.com/watch?v=lPOAku7L0YU からYouTubeアプリを使ってご覧ください。

かつての浪江町の中心部です。浪江町は大熊町や双葉町、富岡町や楢葉町のように原発を直接立地した自治体ではありません。そのため立地自治体よりも電源立地地域対策交付金が少なく、「原発の恩恵が少ない割に被害が甚大」と言われています。

ただ、浪江には原発で働く人も多く住み、夜は飲食店に原発作業員が集い、地元の人と交流していました。いわば、原発がこの町の経済を回していた部分があるということです。

原発とともにこの町が発展してきました。原発事故前、この浪江町の商店街が双葉郡でもっとも規模の大きい商店街でした。全国の商店街がシャッター商店街になる中、この商店街はシャッターを下ろしてるお店はほとんどなかったそうです。

浪江町商工会が2015年9月に実施したアンケートによると、避難指示解除後、町での事業再開を望んだ事業者は37%に留まりました。厳しい現実がここにもあります。

請戸地区

※動画の画面をマウスドラッグすることで視点を変更することができます。

※スマホの場合は https://www.youtube.com/watch?v=SviUmquw7ng からYouTubeアプリを使ってご覧ください。

この地区は元々請戸村でした。1953年に浪江町に合併されたこの地区は、元々漁業の町としてにぎわい、海水浴場もありました。

この地区は放射線量が低かったため、3月31日に避難指示が解除されますが、浪江町の都市計画の方針で請戸地区の沿岸部は住むことはできないよう、決められました。防災林や農地として整備される予定です。

このように、帰還が決まっても、復興都市計画の関係で戻れない住人もいます。

請戸漁港

※動画の画面をマウスドラッグすることで視点を変更することができます。

※スマホの場合は https://www.youtube.com/watch?v=eknyX4eukxI からYouTubeアプリを使ってご覧ください。

この請戸漁港は福島第一原発からわずか7kmのところにある漁港です。今年2月25日、震災から6年ぶりにここに26隻の漁船が戻ってきました。

コウナゴ漁が3月中旬から7年ぶりに再開される予定です。ここで水揚げされた魚は競りや検査のために、相馬市の松川浦漁港に陸送されます。

請戸小学校

※動画の画面をマウスドラッグすることで視点を変更することができます。

※スマホの場合は https://www.youtube.com/watch?v=7Yg3OgJE3vE からYouTubeアプリを使ってご覧ください。

この小学校は海岸からわずか340mの場所にあり、大津波で校舎の1Fは水没。校舎は半壊状態になりました。これだけ海が近かったにも関わらず、震災前、津波を想定した避難訓練は実施したことがなかったそうです。

3.11当日は、教職員が機転を利かせ、児童を迎えに来た保護者に引き渡さず、偶然居合わせた大型トラックに児童を運んでもらうといった幸運も重なり、教職員14人と児童92人全員が無事でした。

現在この小学校の扱いが中に浮いています。2016年9月に復興庁と浪江町が共同で行った町民の意向調査では、住民の6割が同校を「震災遺構として望ましい施設」に挙げました。

しかし、浪江町は除染や生活インフラ整備が最優先課題であり、震災遺構をどうするかということまで手が回らない状況です。しかし、もしこの校舎を遺構として残すなら、最低限の保存処置を行わないといつ崩落してしまうかわからない危険な状態であることも事実です。

復興を優先させたいが、記憶を遺すことにもタイムリミットがある――痛し痒しの難しい選択を浪江町は迫られています。

セブンイレブン飯舘村仮設店舗店

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※スマホの場合は https://www.youtube.com/watch?v=PsaZMhhIUcA からYouTubeアプリを使ってご覧ください。

飯舘村の帰還に関する各種データは下記の通りです。

○避難区域の人口

・帰還困難区域 4%
・居住制限区域 83%
・避難指示解除準備区域 13%

○避難区域の面積

・帰還困難区域 5%
・居住制限区域 68%
・避難指示解除準備区域 27%

○2016年度帰還に関する住民意向調査(カッコ内数字は2015年度調査結果)

戻りたい 33.5%(32.8%)
まだ判断がつかない 19.7%(24%)
戻らないと決めている 30.8%(31.3%)

飯舘電力飯舘村伊丹沢太陽光発電所

※動画の画面をマウスドラッグすることで視点を変更することができます。

※スマホの場合は https://www.youtube.com/watch?v=HAX_bU_QHA8 からYouTubeアプリを使ってご覧ください。

2014年に設立された電力会社飯舘電力の発電所です。

飯舘電力は2014年9月に発起人5名が出資して設立。その後も村民30名から出資が集まり、運営されています。

飯舘電力の小林社長は元々この村で和牛農家兼稲作農家を営んでいました。震災後避難先の喜多方市で稲作、蔵王で和牛肥育をしていましたが、飯舘に戻る決意を固め、飯舘電力のプロジェクトを始めました。

30メガワットの富岡と比べると、飯舘村伊丹沢太陽光発電所は現在50キロワット、600分の1の発電量しかありません。

しかし、飯舘電力のウェブサイトに書かれている事業目的「飯舘村民の自立と再生を促し自信と尊厳を取り戻す」を読むと、地域の未来を次世代に渡すための活動として村民が自分たちでやるというところに重点が置かれていることがわかります。あえて大きな資本を入れず、自分たちだけでやるというのがポイントなのでしょう。

原発に全てを奪われた飯舘村。大変厳しい環境の中で動き出した人がいることを我々はきちんと記憶に残しておかなければいけません。

著者プロフィール

津田大介
つだ・だいすけ

ポリタス編集長

ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。「ポリタス」編集長。1973年生まれ。東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。大阪経済大学客員教授。京都造形芸術大学客員教授。テレ朝チャンネル2「津田大介 日本にプラス+」キャスター。 J-WAVE「JAM THE WORLD」月曜日ナビゲーター。一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)代表理事。株式会社ナターシャCo-Founder。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。 世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2013」選出。主な著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)、『動員の革命』(中公新書ラクレ)、『情報の呼吸法』(朝日出版社)、『Twitter社会論』(洋泉社新書)、『未来型サバイバル音楽論』(中公新書ラクレ)ほか。2011年9月より週刊有料メールマガジン「メディアの現場」を配信中。

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