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  • 視点

選挙に行きたくなる、美しすぎる統一地方選候補者リスト(色んな意味で)

  • 駒崎弘樹 (認定NPO法人フローレンス代表理事)
  • 2015年4月24日

誰ですか、統一地方選に興味ない、なんて言ってる人は。

待機児童問題だって小1の壁だって介護だって、結局は市や区っていう「基礎自治体」マターなんですよ。

はっきり言いましょう。統一地方選は、AKB48以上に推しがいのある素敵な女性候補が一杯います。

行くしかないです。握手レーンならぬ、投票所に。

NPOの仕事を通じて、地方自治体や議員さんと絡む機会の多い私から、そんな素敵な女性議員の一部をご紹介致しましょう。レッツビギン!

※写真は候補者自身のWEB等より
※記事は筆者の所属する団体等と何ら関係なく、個人の価値観に基づく意見です


斉藤りえ(東京都北区)

saito

執筆した「筆談ホステス」という本がベストセラーになった彼女ですが、当選すれば東京都ができて初めて、聴覚障害のある区議が生まれることになります。

私生活では4歳の女の子を育てるママ。障害があって、女性で、子どもを育てていて、と三重のマイノリティ性を帯びる彼女が地方政治に関わるというのは、非常に意義があると思います。

というのも、地方政治は現実の人口構成を反映していないからです。例えば女性議員は半分いていいはずですが、約11%しかいません。LGBT議員も人口の5%いていいはずですが、数人。障害者議員も少なくとも6%はいるべきですが、ほとんど皆無に近い。そう、マイノリティは政治の舞台には登場せず、ゆえに当事者としての声は反映されにくい。マイノリティが社会と政治とで、二重に疎外されることになるわけです。

よって、政治の舞台には、もっとマイノリティが送り込まれるべきでしょう。そう考えると、彼女の挑戦は難しいものでありながら、であるからこそ美しく輝いていると言えましょう。

本目さよ(台東区)

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子育て支援に命かけてる系議員。民間企業の人事で働いていた時に、育休を取った女性社員から「保育園に入れなくて仕事に戻れません」という連絡を受けて衝撃を受けたのが、区議に出馬した理由の一つとのこと。

デフォルトおっさんの議会で、若い女性が成果を出すのは一般的にはハードモードの中、彼女はバンバン提案をぶつけています。

例えば僕たちは台東区で小規模保育を始めたのですが、台東区の保育政策って、決して23区内でも先進的とは言えないんですね。そんな中、台東区でまだ新しい小規模保育という試みができたのも、彼女が豊島区で僕たちが始めた小規模保育を視察して、「これはやらねば」と区役所に提案し、んじゃあということで台東区が動いて枠組みができたことがきっかけでした。

他区でやっていることを貪欲に吸収し、良いと思ったら自分の区でもやろうと役所に提案していくこの姿勢。地方議員は「政策の営業マン」たりうる、ということを体現されているな、と思います。

やなざわ亜紀(港区)

yanazawa

「なんで保育園入れないの!」という憤りから出馬した、徳島出身の シングルマザー議員

政策では、待機児童問題、病児保育、ひとり親支援、学童保育や不妊治療等、母親として身近な話題に力を注いでいます。

彼女の実績の一つは、芝浦アイランドピーコック前にある横断歩道の青信号の点滅時間を伸ばしたこと。子ども達が渡るにはとっても短くて、ヒヤヒヤした母親達の声を聞いて、行政と警察と交渉を重ね、実現したとのこと。

一見小さなことですが、こういう小さなデバグが、事故を防ぐのです。地方議員の仕事は、こういう「地味で小さいけど、生活に関わること」であるべきなのです。

スポーツ新聞から「美しすぎる区議」等と外見を注目されることが多い彼女ですが、彼女の本質はそこにはなく、仕事ぶりの中にあると言って良いでしょう。

若林智子(横浜市青葉区)

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惜しくも統一地方選前半で破れてしまった若林さん。

彼女を勝たせなかった青葉区民は、残念ながら政治家を見る目がない。

確かに地味すぎるほど地味で、政治家にありがちな「アレ俺」詐欺(何でも俺/私がやった的なデモンストレーションをかます)的なことをほとんどしないため、印象には残りづらいきらいはあります。

しかし、地域活動を長年続け、今でもNPOの理事として地域に活動として関わり続けてきた現場感は、横浜随一と言ってもいいでしょう。

神奈川の地方政治の場から、良心的な議員が1人いなくなったという事実に、胸が痛まざるを得ません。

永野ひろ子(豊島区)

nagano

23区唯一の消滅可能性都市、豊島区池袋があるのに消滅しそうって、どんだけだよ、という豊島区。

その豊島区の地方政治に咲く一輪の薔薇が、永野ひろ子区議です。

ご自身も2人のお子さんを育てながらの政治生活。なので保育・子育て支援政策には非常に詳しい。

僕たちは豊島区でも小規模保育所をやっているのですが、豊島区役所が時々、事業者にとっては(悪気はないけど)意味不明なことを仰ってきたりすることがあるんです。普通だと、事業者はいくら自治体が無意味なことを言ってこようが、唯々諾々と従わないといけないわけです。そうやって、どんどん事業がしづらくなっていくわけです。

ですが、永野さんはそういうところに切り込んでいって、担当部局に過ちを気づかせて、消滅可能性都市が消滅街道を突き進むのにブレーキをかけるわけです。

彼女を見る度に思います。やはり地方政治の場に、実力派女性議員は必要だ、と。豊島区が消滅するか否かも、地方議会の多様性にかかっているのではなかろうか、と思うのです。

久保りか(中野区)

kubo

オタクの聖地、中野ブロードウェイを擁する中野区ですが、待機児童問題等ではかなり手こずっています。

そんな中、久保さんは賃貸物件で認可保育所をやれるようにしたりと頑張られています。

3期目ということもあり、党の幹事長(かなり偉い人)にも上り詰めています。

コツコツ確かな実績を積むことで、少数派の女性であっても、区議会の中で影響力を持っていけるのだ、と言う意味では女性地方議員の可能性を示唆してくれる人であると思います。

上川あや(世田谷区)

kamikawa

日本で初めて性同一性障害を公表の上、世田谷区議会議員選挙に立候補し当選した現職区議。

27歳まで男性として暮らし、30代に入り女性として生きるように。

初めて街頭演説でマイクを握った時に、「なんだ、ニューハーフか」と言い捨てる人もいたそうです。

議員になった後は、視覚障害者誘導用ブロックの統一や、ひとり親支援政策、外国人住民のための案内の充実等に尽力。

渋谷区で始まった同性パートナーシップ条例を、世田谷区でも成立させるべく要望書を出す等、精力的に行動されています。

男性であろうと女性であろうと、性的マイノリティであろうと、自分が自分らしくあれる社会が、美しい社会といえるのではないでしょうか。

【番外編】

都議なので、今回は選挙日程が違いますが、同じく地方議員ということでは下記の方々もまたリスト入りできる美しすぎる方々です。色んな意味で。

上田令子(江戸川区)

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ワーキングマザー支援NPOの代表時代から知っています。社会の不条理に対し、燃えるような怒りを持ち、それが彼女の原動力となっています。無駄遣いや馬鹿げたお役所仕事が大嫌いで、江戸川区のスーパー堤防計画を凍結せよ、とか議会をUstreamで公開しようぜ、とロックしてます。

「個別の便宜は図りませんが、区民全体の幸いを考えます。」

「あなたを助けることはできないかもしれないけれど、あなたが自分で自分を助けるお手伝いをします。」等と、区民にも媚びずに宣言するその姿勢、美しいですね。

栗林のり子(世田谷区)

kuribayashi

セクハラヤジのオンパレードで、世界から嘲笑された都議会の中で、1匹の鶴のような美しい心を持っています。

虐待が明確に疑われたあるケースと出会った時に、某所の児童相談所がうまく機能していない時がありました。

彼女に相談したら、すぐさま動いてくれ、児相も重すぎる腰をあげてくれました。

その子どもも、周りも彼女の選挙区とはほど遠く、都民ですらありませんでした。つまり全く票にならない。

しかしそんなこととは関係なく動く、その生き様。げに美しき、ありようかな。

★☆★☆

さて皆さん、如何でしたでしょうか。

選挙ブログを書く度に炎上する僕ですが、今回も燃え盛る業火に焼かれそうな気配がプンプンしています。

とはいえ、これを機に、皆さんが自らの町の政治に、選挙に少しでも興味を持ち、投票所に足を運んでもらえれば、望外の喜びであります。最後に一言。

「すべてのものに美しさはあるが、すべての者に見えるわけではない。」孔子

著者プロフィール

駒崎弘樹
こまざき・ひろき

認定NPO法人フローレンス代表理事

1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、「地域の力によって病児保育問題を解決し、子育てと仕事を両立できる社会をつくりたい」と考え、2004年にNPO法人フローレンスを設立。日本初の「共済型・訪問型」の病児保育サービスを首都圏で開始、共働きやひとり親の子育て家庭をサポートする。2010年からは待機児童問題の解決のため、空き住戸を使った「おうち保育園」を展開し、政府の待機児童対策政策に採用される。2012年、一般財団法人日本病児保育協会、NPO法人全国小規模保育協議会を設立、理事長に就任。2010年より内閣府政策調査員、内閣府「新しい公共」専門調査会推進委員、内閣官房「社会保障改革に関する集中検討会議」委員などを歴任。 現在、厚生労働省「イクメンプロジェクト」推進委員会座長、内閣府「子ども・子育て会議」委員、東京都「子供・子育て会議」委員、横須賀市こども政策アドバイザーを務める。著書に『「社会を変える」を仕事にする 社会起業家という生き方』(英治出版)、『働き方革命』(ちくま新書)、『社会を変えるお金の使い方』(英治出版)等。一男一女の父であり、子どもの誕生時にはそれぞれ2か月の育児休暇を取得。

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