ポリタス

  • 視点
  • Illustration by 岩本室佳

ポリタス特集「東京都議会選2017――迷走する首都」を開始します。

  • 津田大介 (ポリタス編集長)
  • 2017年6月30日

首都の選挙であるにもかかわらず、注目度の高い都知事選挙や国政選挙と比べて都議会議員の選挙はこれまであまり注目されてきませんでした。

メディアが東京都の政治事情――東京が抱えるローカルな政治問題に注目してこなかったことは、東京都庁という官僚機構の肥大化と、政治的な空洞状態を生み出しました。その帰結として、新国立競技場問題や、五輪会場問題、豊洲市場移転問題が生み出されたとも言えるでしょう。

そんな中、昨年7月の都知事選で勝利を収めた小池百合子都知事は、東京都が抱えていたさまざまな不透明な行政決定プロセスに光を当てることで注目を集め、巧みなメディア戦略もあいまって、一気に支持を集めました。

高い人気を集める中、2017年1月には小池都知事を支援する政治団体『都民ファーストの会』が地域政党活動を開始。48名の都議選公認候補を立て、今回の都議選の台風の目になると言われています。

その一方で高い小池人気にも陰りが見えてきました。朝日新聞による世論調査では、4月時点で74%あった支持率が6月24、25日の同調査で59%まで下がりました

言うまでもなく、その背景には豊洲市場移転問題をめぐるゴタゴタがあります。

小池都知事の豊洲市場移転問題は小池都知事の発言や判断が二転三転し、最終的に豊洲と築地を併用するという、玉虫色の結論が出されました。

併用と言いつつも具体的なプランはまだまだ見えてこない部分が多く、実質的には豊洲移転であるにも関わらず、「築地併用」というキーワードを掲げることで、政治的な責任をうやむやにしているのではと見る向きもあります。

いずれにせよ、小池都知事の誕生は選挙情勢に大きな影響を与えています。「都民ファーストの会」という新しい政治勢力の誕生は、国政の与党である自民党と公明党が東京都では分裂するという結果をもたらしました。

華々しく誕生した都民ファーストの会も、小池都知事が豊洲移転を打ち出したことで、自民党との明確な差が少なくなってしまいました。争点なき都議選で、都民はどのような観点から投票すればいいか、見えにくくなってきています。

他方、今回の都議選は、今国会で先送りされた受動喫煙防止法案や、東京オリンピックの会場問題など、今後の都政を考えるうえで重要な論点が豊洲以外にもたくさんあります。

そうした状況を俯瞰し、都民にとって最良の選択肢は一体どこにあるのか、さまざまな識者から今回の都議選を斬っていただきました。

本特集が皆さんの選択の一助になれば幸いです。

著者プロフィール

津田大介
つだ・だいすけ

ポリタス編集長

ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。「ポリタス」編集長。1973年生まれ。東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。大阪経済大学客員教授。京都造形芸術大学客員教授。テレ朝チャンネル2「津田大介 日本にプラス+」キャスター。 J-WAVE「JAM THE WORLD」月曜日ナビゲーター。一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)代表理事。株式会社ナターシャCo-Founder。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。 世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2013」選出。主な著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)、『動員の革命』(中公新書ラクレ)、『情報の呼吸法』(朝日出版社)、『Twitter社会論』(洋泉社新書)、『未来型サバイバル音楽論』(中公新書ラクレ)ほか。2011年9月より週刊有料メールマガジン「メディアの現場」を配信中。

広告